ジャンタルマンタル。
朝日杯FS(1着)、NHKマイルC(1着)、安田記念(1着)に続き、4回目の単複となる予定。
パレスマリス産駒の、牡馬。
良駒だ。
相性良く買えている馬。安田記念は2番人気だったが、圧勝するのではないかと思っていた。結果は1馬身1/2差。着差を付けて圧勝だった。
今回は「同じ右回りのG1・朝日杯馬FSの連対馬」が有利に走れる舞台、マイルCSで買うが、『今になっての京都コースがどうか』という点で、安田記念の時より不安がある。
富士Sは、安田記念で下したガイアフォースに一発を喰らったが、安定感より爆発力という相手なので仕方がない。ただ、ジャンタルマンタル自身の伸び脚は物足りなかった。その原因は血統面だ。
もともと、2歳時には「パレスマリスって何よ?」みたいな話が出回り、その際には「スマートストライク系の日本の芝に合う外国血統」とした。朝日杯FSで単複を買った時あたりだ。「スマートストライク産駒のレッドレイヴンを強くした感じ」とした。
その後、ノーブルロジャーの活躍と共にパレスマリスが日本に導入された。世の中から、この種牡馬の子は「日本に合っている・合っていない」という、血統面の話は出なくなった。
しかし、もともと、スマートストライク産駒というのは『一瞬しか伸びない』特徴を内包していた。素質馬レッドレイヴンの出世を阻んだのはこれが原因。ブレイクランアウトなどもそうだった。
【この一瞬しか伸びない脚が、2歳の頃はいいとして、今、本質が剥き身になる古馬になって、長くキレ味のある末脚を使わなければいけない京都コース、それも、今の荒れた京都コースでどうか。】
今回はそれに尽きる。
いろいろなコースで結果を出している。気性がよく堅実なタイプ。また、ドスロー(共同通信杯)から、超ハイペース(皐月賞)まで、いろいろなペースを体験することで強くなってきた馬。
【適度な経験値があることは、慢性的経験値不足が蔓延る現代競馬において、大きなアドバンテージだ。】
当然、京都にも実績あるが、デイリー杯2歳Sの時の「内・外がフラット」で内から伸びて勝った時とは、今の京都はまったく違う。先週の競馬を見てもわかる通り、かなり内が荒れた、外差し馬場になっている。上手くフィットするかどうか。
エビデンス・過去の似ている事例としては、朝日杯FS馬で、このレースを2着になっているダノンプレミアム。鞍上も川田で、これに似ているよに思う。
鞍上は、川田騎手。
この馬のことは知り尽くしている騎手。ある程度は先行するだろうが、先週の京都を見てもわかる通りインコースは荒れてる、外差し馬場だ。
5〜6番手の外目あたり。このあたりで、少しググッと我慢を利かせてから、直線へ向入れもらいたい。
ビッシリと戦う正攻法で乗ってほしい。
G1だ。
有力各馬に、ひと言ずつ、見解をつけていこう。
アスコリピチェーノ。
桜花賞馬というのも、ダンスインザムード、ラインクラフト、キョウエイマーチの頃から、このレースで好走する。この馬は桜花賞馬ではないが「桜花賞2着の阪神JF馬」で、限りなく桜花賞馬に近い存在。4歳で最高の時節。ただ、2023年からこのレースでの牝馬は56キロを背負う。そのぶんだけどうか。僕は普段印を打たないが、印で表現するとしたら、〇。
ウインマーベル。
相変わらず、粘り強い走法だ。ただ、G1では厳しいと思う。
ウォーターリヒト。
ここ数戦は、脚を余す競馬が続いている。ただ、コースは東京の方がよく、ここで末脚を使い切れても実力的に足りるかどうか微妙だ。
エルトンバローズ。
3年連続で参戦。2年前が4着、昨年が2着。今年は毎日王冠5着からで、これ以上の上がり目があるかどうか。僕は普段印を打たないが、印で表現するとしたら、△。
オフトレイル。
ずっと「どこかでハマる」としてきたが、キレッキレの末脚が前走で遂に開花。ただし、G1までいくと実力が足りるかは微妙なライン。それでも今の外差し馬場とは間違いなく合うはず。進路と位置取り次第で浮上もある。△
ガイアフォース。
気性的に安定していない。東京のマイルが得意。富士Sでは最高の立ち回りで爆発力を引き出して圧勝に近い強さだったが。思い切って、無印にしてみたい。
カンチェンジュンガ。
前走は力も足りなかったが、位置取りも悪かった。ここはマイルG1で厳しいと思う。
ソウルラッシュ。
4年連続の参戦。4着→2着→1着。今年はどうか。7歳の秋になる。骨折明けの富士Sは伸び方が微妙だった。ただし、鞍上にクリスチャンデムーロ。陣営は明らかに狙ってきている。△
チェルヴィニア。
牡馬との戦いに苦戦する2冠牝馬。マイルなら一発もあり得るが。56キロが課題。△
トウシンマカオ。
実績通り、1600mは距離が長いと思う。G1の大舞台となれば、さらに適性が試される。もうワンパンチが出なさそうに思う。
マジックサンズ。
前走が案外だった。掛かったといっても許容範囲に見えたし、位置取り的には上手くいっているように見えた。今回は作戦を練ってきそうだ。外差し馬場の京都で、変わり身を待ちたい。外差しは可能なタイプなので、今の馬場でハマれば一発の魅力はある。△
ラヴァンダ。
これが少し恐い1頭。アイルランドT(旧・府中牝馬S)からというのは「ブルーメンブラット・パターン」だ。立ち回りの上手さも生かせば、3着争いくらいはあってもかしくない。△
レーベンスティール。
毎日王冠1着馬、というのはマイルCSでは有利になるローテ。中距離馬の力も生かせる。ただ、この馬自身は末脚爆発と不発が同居するタイプ。それが「回り」とか「コース」などではなく「馬のその日の気分で決まる」という感じがする。
母父トウカイテイオーの血がそうさせる。しかし、トウカイテイオーといえば、かつて、このレースを勝ったトウカイポイントを種牡馬として送り出したことを思い出す。もし国内G1で”何か一発仕事をする”としたら、トウカイテイオーの血が良い方に騒ぐ、ここしかないかもしれない。▲
<本島修司の競馬分析ワード>
【馬単位】:2008年に本島が発案した概念。一般的な「このレース、どの馬が来るか」ではなく「この馬、どのレースなら来るか」という見方に切り替えること。馬1頭と真摯に向き合うための概念。
【良駒】:その種牡馬の「産駒らしさ」が濃く出ている馬。『信頼性』が見込め、『ポテンシャルの高さ』を測る目安のひとつにもなる。
【エビデンス】:本来は「根拠」という意味の言葉だが、似ているパターンや、似ている状況で「必然の好走が出来た過去の事例がある」という意味で使用している。