ドゥレッツァ。
天皇賞春(着外)以来、2回目の購入となる予定。
ドゥラメンテ産駒の、牡馬。
良駒だと思う。
ジャパンカップのポイントと、馬券的な戦略は次のようなもの。
1 生半可な実力では厳しく「日本総大将」と言える存在を重要視する。
(イクイノックス(1着)、ディープインパクト(1歳))
2 多少の近走不調や頼りなさでも『王道型・4歳馬』に固執する。
(スワーヴリチャード4歳時(3着)、ワグネリアン4歳時(3着)、エピファネイア4歳時(1着))
3 それらがいなければ『3歳世代のトップ』か『晩成型』に動く。
(コントレイル3歳時(3着)、レイデオロ3歳時(2着)、リバティアイランド3歳時(2着))
(ラブリーデイ5歳時(3着)、ポップロック6歳時(2着))
”生半可な実力では厳しく”。
この一行が全てを物語る最高峰の一戦。「G1馬の脚力」は必須だ。
ドウレッツァは、天皇賞・春の敗因がわからない。レース後は軽い熱中症との報道。その後、軽度の骨折との報道だった。しかし8月にはイギリスでインターナショナルSを走れている。ただ、そもそも論として書いてきていたように、キングカメハメハ系ながら、それなりに母父を出してくるドゥラメンテの産駒で、母父がモアザンレディだ。
そう、モアザンレディだ。この母父で、そもそも3000mが得意なのかと言う疑問はあった。しかし、菊花賞馬になった。実力は証明されている。しかし、いろいろ理由はあったにせよ、天皇賞・春の大敗も含めて3000mがベストな距離かは微妙なところだ。同じ3000mのレースでも、古馬になってからの方が本質が出る。3歳時の菊花賞は本質が出ないことも多い。
始動戦の金鯱賞では、馬群に閉じ込められながら最後は「実力的には足りています」という末脚を見せた。レースVTRを見直しているが、馬が右回り3000m→左回り2000mという、大幅な条件変更に戸惑いながら走っている雰囲気。ゴール後には、さらに伸びている。
そもそも、大事なレース(菊花賞の前に重賞など)を使わないローテーションに”メチャクチャ感”もある馬。この時の末脚を見ても、やはり菊花賞はマグレ勝ちではなさそうに見える。そして「成長力不足やこの世代だけ弱いということもなさそうだ。
一応、軽度でも「骨折」との報道だったので、怪我による精神面での影響がどうか。その視点でイギリスインターナショナルSの競馬を再度見たが、先頭には立てなかったが、道中から4コーナーにかけて馬ナリで上がって行き、前を飲み込む前進気勢は戻っていた。
4着がのちの凱旋門賞馬ブルーストッキングで「6着に近い5着」だった。「レース内容」としてはあまり評価しない。ただし「骨折明けの馬の闘争心の戻り具合」としては評価する。逃げ馬が勝ったレースで、直線入り口で、前2頭に並び替かける3番手まで進出できていた。闘志は消えていないと判断。4歳の菊花賞馬を信じる。
エビデンス・過去の似ている事例としては、4歳菊花賞馬で、ジャパンカップ2着だったキセキ。これに似ている。同じく4歳菊花賞馬で、このシーズンはヤキモキしたレースを続けながら、このジャパンカップで爆発的な末脚を繰り出した、エピファネイアにも似ているかもしれない。それからオウケンブルースリ。「夏の上がり馬で菊花賞を買った晩成型」の「4歳で挑んだジャパカップ(2着)」。このパターンにも似ている。
鞍上は、ビュイックジョッキー。
最高の鞍上を捕まえた。2013年の2月「共同通信杯のゴットフリート(2着)」の時から宣言し、今なお見解を変えていない「左回り王子」と呼べる男。右回りが苦手なわけではないが、左回りでは世界有数の腕を誇る。右回りとは道中のスムーズさが違う。
ドゥレッツァは、わりと競馬に注文が付くタイプ。道中は下げすぎないでほしい。前に行き、前に馬を置き、折り合いを付けて爆発させたい。ビュイックは、昨年、2023年のジャパンカップでスターズオンアースに騎乗している(3着)。今、あのレースを見直している。4〜5番手からコーナーリング、折り合い、追い出しまで全てが完璧だ。あの再現を目指してほしい。あとはドゥレッツァの伸び次第だ。「昨年のスターズオンアースのような形」を作れて、伸び切れなければその時は諦める。
今年のジャパンカップは、久しぶりに世界最高クラスの海外馬が来る。しかし、近年のジャパンカップは「世界最高峰の外国人ジョッキー」を堪能するものだった。その流れは今年もまだあるはず。ウィリアムビュイックが披露する、世界最高の左回りの乗り方。目撃する瞬間だ。
G1だ。
ジャパンカップ、有力馬に、ひと言ずつ、見解を付けていく。
オーギュストロダン。
よくぞ来てくれた、ディープインパクト産駒の海外調教4歳牡馬。いきなり走らない時もあるタイプだが、来日に敬意を表したい。位置取りが読み切れない。東京はCコース。タイトな競馬になる。その点がどう出るか。僕は普段印を打たないが、印で表現するとしたら、△。
ゴリアット。
セン馬。4歳。問題の海外馬。キングジョージを圧勝した馬だ。キングジョージで2着のブルーストッキングを凱旋門賞で単複を買った身としては、アウェイの土地でもまったくの軽視はできないが。父はアドラーフルーク。インザウイングス産駒だ。インザウイングスはサドラーズウェルズ産駒。フランスでの競馬は、重・不良が明らかに得意。この戦歴から滲み出るのは”強烈なサドラーズウェルズ感”。鞍上、スミヨンが乾坤一擲の騎乗を見せそうだが。切れ味不足を露呈するシーンはありそう。けっこう厳しい一戦になると思う。△
ジャスティンパレス。
王道型5歳の秋。衰えはあると思う。ただし、全てを覆しそうな「鞍上・クリスチャンデムーロ」。前走も距離不足の中、脚は使えている。一応、マークしておく。△
シンエンペラー。
凱旋門賞はさすがに厳しいと思っていた、日本ダービー3着馬。ここも実績を思えば、もうワンパンチ足りない気がしている。前走に続き、軽視としてみたい。
スターズオンアース。
王道型の5歳牝馬。昨年は3着。アスリートのピークの時節として、あとはどこまで余力があるかだ。ここは最高峰の舞台。思い切って軽視する判断とした。
ソールオリエンス。
王道型の4歳皐月賞馬。本来は、これが頑張らなければいけない一戦。しかし若干の成長力不足を感じる現状。そこだけがどうか。今の東京の馬場を思えば、後方からの競馬も不安がある。中団くらいを取れて馬群を縫ってくることができれば。”腐っても4歳G1馬”。これはマークする。とにかく、ブン回しではなく、馬群を縫いたい。〇
チェルヴィニア。
牡馬相手にG1で戦える精神力があるかどうか。ポイントはそれだけ。これはやってみなければわからない要素。馬はハービンジャー産駒の牝馬史上、一番強いかもしれない。『牝馬』とう枠で見れば相当な実力。あとは本当に「牡馬とでどうか」。一発勝負となる一戦。△
ドウデュース。
朝日杯FS馬。普通なら5歳の秋で衰えるが、衰えどころから、より一層強くなている。理由は2つ。『ハーツクライ系特有の長い成長曲線』。もうひとつ大事なことが。3歳の秋をほぼ休んでいること。消耗が少なく、純粋な王道型とは少し違うタイプ。今までとは違う、5歳での日本総大将ということになる。やはり主役クラスだろう。▲
ファンタスティックムーン。
ドイツ馬。これはさすがに、走りが重いと思う。
ブローザホーン。
前走は”エピファ・タイマー”が発動したように見えた。もともと、叩き良化タイプではある。ただ、そいう次元の大敗だったか、どうか。激変までを望まなければいけない状況。ここはさすがに強気になれない一戦。
<本島修司の競馬分析ワード>
【馬単位】:2008年に本島が発案した概念。一般的な「このレース、どの馬が来るか」ではなく「この馬、どのレースなら来るか」という見方に切り替えること。馬1頭と真摯に向き合うための概念。
【良駒】:その種牡馬の「産駒らしさ」が濃く出ている馬。『信頼性』が見込め、『ポテンシャルの高さ』を測る目安のひとつにもなる。
【エビデンス】:本来は「根拠」という意味の言葉だが、似ているパターンや、似ている状況で「必然の好走が出来た過去の事例がある」という意味で使用している。