調教捜査官・井内利彰氏の新予想バイブル「厩舎のミカタ」がスタートしました。ここでは毎週、調教師をピックアップし、その厩舎について解説。その週だけでなく、いつでもその厩舎の追い切りの特徴や馬券での狙い時を確認できる、調教予想についての「バイブル」となることを目指して続けていきます。何卒、よろしくお願いいたします。初回は栗東・矢作芳人厩舎となります。
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◇ローテーション
レース間隔が詰まっていても結果を出すという、最近のリーディング厩舎では異質なタイプ。その象徴が2018年に連闘で安田記念を制したモズアスコット。2022年は3勝を挙げているものの、単勝回収率74%。これをどう捉えるかだが、複勝回収率は110%あるし、普通の連闘とは違うのが矢作厩舎という認識は持つべき。
◇追い切りの特徴
最近では最終追い切りが坂路だけではなく、CWも増えてきた。ただ、1週前がCW追い切り、最終追いが坂路という追い切りパターンは、ラヴズオンリーユー(オークス)やコントレイル(牡馬三冠)がクラシックを制しており、厩舎の王道パターンといってもよい。
◇ここに注意したい調教パターン
ローテーションと同等の追い切り本数が標準(中3週なら3本)とした場合、牝馬はローテーションよりもかなり少ない追い切り本数で出走することが多いが、それで結果を出す厩舎。2022年2月13日の4歳上1勝C(牝)に出走したタイセイグラシアは中12週のローテーションに対して、3本の追い切りしかなかった。通常なら本数が少ないと判断してしまうが、仕上がっているからこそ、この本数で出走してきたと判断してよい。結果は10番人気(単勝26.4倍)で1着だった。
◇狙える追い切り その1
最終追い切りが坂路で4F目最速ラップを踏むこと。矢作厩舎の2022年JRA重賞は4勝だったが、レパードSのカフジオクタゴンとアルテミスSのラヴェルがこの最終追いに該当していた。これは重賞に限ったことではなく、下級条件でも同様で、粟島特別(1勝)を9番人気で制したグランスラムアスクなどもこれを注目することでピックアップすることができる。
・粟島特別(10月16日・福島芝1800m)
10月13日 栗坂 15.1秒、13.3秒、12.7秒、12.4秒
◇狙える追い切り その2
最終追い切りが坂路で好走実績があるものの、その後、坂路で結果が出ない馬がCWでの追い切りに変化した時が狙い。2022年好走代表例が福島記念のユニコーンライオン。2021年鳴尾記念1着もその後の宝塚記念2着も狙える追い切り(1)に該当して結果を残している。ところが長期休養を挟み、プロキオンSからの3戦は最終追いが坂路か函館Wですべて二桁着順に終わっていた。これが福島記念のタイミングで最終追いがCWになって、10番人気1着。この時は初ブリンカーという要素もあっただけに、馬場変更だけでないと考える方もいるだろう。ただ、これ以外にも未勝利でメタルゴッドが最終追いCWで6番人気1着と結果を残しており、このパターンは近走成績が悪い分、人気薄という妙味があって狙いたくなる。
・3歳未勝利(4月9日・中山ダート1800m)
新馬 坂路 6着
未勝利 坂路 10着
未勝利 坂路 7着
未勝利 CW 1着
◇今週の該当馬
・3月25日
中山
11R キングオブドラゴン(狙1)
中京
6R スマートヴィーヴル(狙1)
阪神
11R フェイト(狙1)
・3月26日
中山
11R カフジオクタゴン(狙1)
11R ダノンファラオ(狙1)
阪神
5R レッドマジック(狙1)
9R グランスラムアスク(狙1)