今週から東京・京都ともにCコースを採用。荒れた内側がカバーされるため、内伸びの傾向には注意したいが、時計の出方としては急に速くなるということはないと考えている。
続いて展開だが、GIにしては少し遅いくらいで基本的にミドルペースと考えている。なぜなら、先週のエリザベス女王杯では、前に行くと目されたクロコスミアとゴージャスランチ(レースでは出遅れ)がいずれもスローに落としこみたいタイプだったのに対し、今週前に行くと目されるマイスタイル、フィアーノロマーノ、ダノンプレミアムあたりは、いずれもスローの直線勝負よりも消耗戦に持ち込みたいタイプであるからである。
また、京都外回りということで、ラスト3F戦よりもラスト4F戦に強い馬、菊花賞のワールドプレミアやエリザベス女王杯のラッキーライラックに見られるように、最内を突ける位置をとれそうな馬に高い評価を与えたい。
本命は14番ダノンプレミアムとする。前走は天皇賞(秋)でアーモンドアイの2着。1000m通過59秒0ということで、GIにしては先行有利の流れだったのでは?という意見もそこだけみればわからなくもないが、実際のラップをみると、12.8‐11.4‐11.5‐11.6‐11.7‐11.6‐11.3‐11.1‐11.3‐11.9と一度も緩まないどころかラスト4F目に11秒3を踏んでいるように、逃げたアエロリット含め先行馬にはかなり厳しい流れだったとみるのが素直だろう。ということで、前走2着の内容はかなり高く評価している。
コース適性について、自分はこの馬をマイラーとは思っていないし、持久力よりもスピード優位の京都コースもいいとは言わない。ただ、マイルは適性範囲内であるし、今開催の京都は春開催ほどの高速馬場ではないので、この馬の地力で十分カバーできる。
展開については、先ほども述べた通りGIにしては遅いくらいのミドルペースを基本的に想定しているが、語弊を恐れずに言えば、天皇賞(秋)よりもぬるいペースになる可能性が高い。前走の流れを経験した強みがここでものを言うとみている。
枠についても、少し外すぎるキライはあるが、被されたりするほうがリスクがあるので、これでいい。外の3頭のうち、ダイアトニックとレイエンダはそこまでテンに速くないし、エメラルファイトも前走を受けて差しに回るようなので、安田記念のように不利を受ける可能性もかなり低いとみていいだろう。買う側とすれば、これで少しでもオッズがついてくれればありがたい。
この流れから理解いただけたかとは思うが、あくまで本命理由はここでは地力が違うということ。わざわざ自分からハードルを上げる必要もないのだが、本命の自信度としては、皐月賞のサートゥルナーリア、天皇賞(春)のフィエールマン、天皇賞(秋)のアーモンドアイを指名した時と同じくらいの自信がある。
負けるパターンがあるとすれば、(a)極端なスローペースになった場合、(b)極端にハイペースになった場合である。
(a)の場合であるが、この場合に心配しているのは逃げ残りではなくインディチャンプの差し脚である。詳しくはインディチャンプのところで述べることにするが、スローペースに付き合いすぎるとインディチャンプに屈しての2着の可能性が高まってくる。
次に(b)の場合であるが、このようになった場合には2着どころか着外もありうると言わざるを得ない。ただし、ここで検討すべきはそのような可能性を考慮すべきかということである。結論はもちろんノー。マイスタイルが他の先手を主張した馬と競り合えばそのような可能性も少しは生まれるが、前走を見る限りでは、他に主張する馬がいなければ逃げる可能性はあっても、他に主張する馬がいてその馬にわざわざ競りかけるような展開は想定しがたい。(b)は起こりえないとして決めつけることのリスクは許容していいのではないだろうか。
最後にローテーションについて少しばかり述べたい。中2週というローテが不安という論調をたまに見かけるのだが、確かに爪の不安とかで詰めて使えなかった時期はあるが、間隔をとった春が上手くいっていたと言われればそうでもなかったし、このクラスの馬なら無理してここを使う判断をしなくてもよいはずで、同馬主の有力馬が早々にここに出走すると発表していたらなおさらそう思う。仮にここで大きく負けてしまっても、ローテーションが敗因と決めつけるのはどうだろうか。個人的には不安要素ではないので、自信を持って買いたい。
対抗は5番インディチャンプ。インディチャンプといえば、スローのマイラーズCで引っかかって凡走し、ペースの流れた安田記念で勝った馬というイメージを持たれている方が多いかと思われるが、自分はこれと反対の意見を持っている。というのも、この馬の最大の魅力は瞬発力であると考えている。それが遺憾なく発揮されたのが昨年の元町Sである。スローペースからの直線勝負で後方3番手から2着馬に3馬身つけるというのはそう簡単なことではない。個人的に一番強いレースをしたのがこのときだと思っている。抜け出すとソラを使ってしまうところに苦慮するのも、この馬の瞬発力が群を抜きすぎているために早めに先頭に立ってしまうからこそだと考えている。もちろん折り合いに難しいところがある馬なので、スローペースだと力を出し切れない可能性も残すが、逆にハマった時の最大値が見込めるのもスローペースになった場合である。ペースがスローに傾くにつれ、この馬が勝つチャンスは高まっていくものと考えている。
※では安田記念はどうして勝ったのかという点を補足しておきます。
数字だけ見ると前半800mが45秒8と明らかにハイペースですが、前後半でみれば45秒8−45秒1(1分30秒9)と前半のほうが遅いですし、その前に行われたヴィクトリアマイルと比べてもあちらは前半800mを44秒8で通過していますので、遅い流れだったということがわかります。インディチャンプは4〜5番手を進めていましたが、当馬の上がり3ハロンのタイムから逆算して、1000m通過は58秒0なので、当時の高速馬場を考えればスローペースであり、この馬の得意なパターンに入っていたという見立てです。
前走は、58kgに良いとは言えない1800m戦で、しかもアエロリットのペースに積極的についていく競馬と正直かなりきつかったはず。案の定、直線で弾けはしなかったが、垂れなかったのもまた事実。馬の力は相当あるなと改めて感じる内容であった。
こちらは前走からあらゆる要素で条件が好転するし、唯一の不安である乗り替わりも、池添騎手がなんとか結果を出したいと工夫されているのがこちらに伝わってくるので、心配はそこまでしていない。
マイラーズCはあくまで前哨戦であり、安田記念ではダノンプレミアムに不利があったということで、厳密にこの二頭の勝負付けはまだ済んでいない。分は悪いが、この馬の逆転可能性だけは考慮しておきたい。
3番手集団とでも呼ぶべき階層にいた馬たちが狙っていた枠には入らなかったので、上2頭が数歩ずつ抜け出した形に映る。
基本的には、以下に紹介する馬で3枠目を争うイメージである。
▲は11番カテドラル。中京記念、富士Sと本命をつけており、意地になっている部分があるのではと問われると完全にノーとは言えないが、ここで勝ち負けできる素材だと思っての近2走の本命なので、ここも懲りずに評価したい。
一応、前々走は特殊な馬場状態、前走は致命的な出遅れと力を出し切ったと言い難い。加えてNHKマイルと富士Sは外伸び馬場だったなかで当馬は内を通っており、馬場差を考えれば先の二頭以外の馬との実力差はそこまでないとみている。このクラスだとさすがに前走のように出遅れてしまっては話にならないのだが、春も前哨戦では出遅れて、GIでは無難に決めたので、ある程度の発馬改善は見込んでもよいのかなというのと、枠も本音でいえばもっと内が良かったが、NHKマイル・富士Sと馬群を突くことができており、必ずしも大外に回す必要がないので、道中で武騎手が上手く内目に入れてくれることに期待したい。持続力が持ち味なので、想定ペースにも合致する。
気になる点とすれば、やや余裕残しかなと思われた前走よりも、調教後馬体重が増えている点。調教は前走以上に見えたし、夏一戦使われたこともあってか前走も春と比べてそこまで増えていなかったので、今が成長期とプラスに解釈したいところだが、直前まで買える余裕がある方は当日気配まで注視して判断していただきたい。
枠や展開もろもろを考慮したときに、次に紹介する☆3番マイスタイルのほうが評価としては上なのだが、勝ち切る可能性がより高いという意味でこちらを単穴評価とさせていただいた。
その☆3番マイスタイルであるが、陣営曰くダービー卿CTの走りを見て秋の目標をここに定めたとのこと。そのことを念頭に前走を振り返ると、前哨戦としてすごくいい内容だった(ただし、スワンSのレベル自体は自分はそこまで評価していない)。今回、実は掲示板を外していない1600mに距離が延びるのはいいし、先行馬が少ないメンバー構成で内枠を引けたのもいい。内枠のなかでも数少ない先行馬であるグァンチャーレを内に見れる枠に入ったことは尚良い。巴賞→函館記念で見せた上昇ぶりからすれば、スワンS→マイルCSという今回のローテでも期待したくなる。直線までにある程度消耗させたいという思惑はダノンプレミアムと一致するはずなので、坂の下りあたりから二頭で引っ張ってそのままの粘り込みに期待する。ダノンプレミアムより前で競馬してかつ先着するというのはかなりハードルが高いと思うので、その点で☆評価とさせていただいた。
以下、△として、1番ダノンキングリー、7番ペルシアンナイト、10番アルアインの3頭。
△1番ダノンキングリーだが、この世代屈指の実力馬。サートゥルナーリアやクロノジェネシスが敗れたことで、この世代は〜なんて言われてしまっているが、当馬はスローでもハイでも結果を出してきた馬で、古馬との対決でも力を出せるタイプと思っている。ただ、個人的にはここではなく天皇賞(秋)に出走してほしかった。ダノンプレミアムがここに出てくるならなおさらである。ワンペースっぽい流れになりそうなのもあまりこの馬にとっては望ましいとは言えないだろう。もっとも、これ以上に買わないほうがいいという強烈な要素はなく、他方でワールドプレミアやラッキーライラックのポジションを陣取る権利を得たので、印は回すことにした。来てもギリギリ取って損にならない程度に押さえたい。
以下は今年のクラシック3強と言われた馬の自分の評価と成績である。参考までに。
サートゥルナーリア
ホープフルS ◎ 1着
皐月賞 ◎ 1着
ダービー ○ 4着
神戸新聞杯 ◎ 1着
天皇賞・秋 ▲ 6着
ヴェロックス
野路菊S ○ 2着
東スポ杯 無印 4着
若駒S ◎ 1着
若葉S ◎ 1着
皐月賞 ○ 2着
ダービー ▲ 3着
神戸新聞杯 ○ 2着
菊花賞 ☆ 3着
ダノンキングリー
共同通信杯 ◎ 1着
皐月賞 ▲ 3着
ダービー ◎ 2着
毎日王冠 ◎ 1着
マイルCS △ ?着
そのダノンキングリーと絶好のポジション取り争いができそうなのが△7番ペルシアンナイト。
前々走でブリンカーを着用してから、良くも悪くも安定した内容。良くも悪くもというのは、これまで叩き2戦目で大きくパフォーマンスを上げてきたが、使ったことによる集中力の向上というメカニズムとの理解に立つからである。そういう意味では昨年や一昨年ほどの変わり身を期待するのは酷な気がするが、高速ではない馬場というのはこの馬にとってプラスの材料。当初は更に一段下のグループで考えていたが、アルアイン・ダイアトニック・プリモシーンといったところが狙いづらい枠に入ったので、枠順的に最適ポジションを取れる可能性があるこの馬を繰り上げる形でこの評価とした。
ラストに△10番アルアイン。この馬は立ち回りで稼ぐタイプとずっと言ってきたように、正直もっと内目の枠が欲しかった。また、調教で集中力をやや欠くような印象を受けるのも気になるところではある。ただ、個人的に2000mでも若干長いと思ってる身とすれば、この条件は良いし、ムーア騎手とコンビを組んだ3年前のパフォーマンスが忘れられず、このコンビであれば無視できない。
3連単◎→○▲☆⇔○▲☆△△△が本線に、馬連◎‐○を押さえた馬券で勝負。厚くするならダノンプレミアムとインディチャンプの二頭が絡む組み合わせ。
以下、印をつけなかった馬へのコメントです。参考までに。
グァンチャーレ
昨年のキャピタルSあたりから高速馬場にも対応できるようになり、マイラーズC2着、安田記念4着の実績も光る。
ただし、マイラーズCに関しては上位人気馬が自滅した感は否めないし、安田記念も最大限の恩恵を受けた結果である。
レッドオルガ
この馬は4角のスムーズさが成績に直結するタイプ。またしても内枠ということで、その点がネックになる。
フィアーノロマーノ
小回り向きの印象。ぶっつけで通用するほど甘くはない。
プリモシーン
前走は明らかに余裕残しの仕上げ。今週の調教後馬体重ではきっちり絞れていたので、その点は解消されているとみていいだろう。ただ、それ以上に気にしたいのが、4角で外に馬を置くと伸びが悪いという点。想定ペースと枠の並びからして、4角で外に馬を置かない形で上がってこれるかとなるとよっぽど後ろか前にいないと相当難しいように思う。ビュイック騎手は魅力的で、しかも人気がないとなると非常に手を出したい一頭であるが、この点が解消できない以上は無印評価とする。馬群の中から伸びてきたときにはもうビュイック騎手を崇めるしかない。
クリノガウディー
前走は展開が向いた面もあったが、直線狭くなる場面があっての4着は上々の内容。気性が激しいのは悩ましいところだが、レースセンスは高いし、もう少し内なら印を回したかった。
モズアスコット
前走は1年ぶりの連対を果たしたが、復活というよりはメンバーレベルが下がったことによる好走と考える。昨年はぶつけられる不利があっただけで条件は悪くないが、ペースが落ち着きそうな分だけ今年も馬券圏内には届かない気がする。
タイムトリップ
阪急杯でも京王杯SCでも本命にした当馬。客観的に見て厳しいが、今年は恵まれないレースが多かったので何とか報われてほしいという想いがある。さすがに外を回して勝てるほど強くはないので、前走のように道中のどこかで内に潜り込ませたい。
ダイアトニック
先週やられたスミヨン騎手が今週騎乗するのがこの馬。京都5戦5勝という実績は無視できないが、前走のレベルで、展開も向いて、得意の1400mで、スミヨン騎手が騎乗してギリギリ1着ということを踏まえると、超えるべきハードルはそこまで簡単ではないと考える。
エメラルファイト
前走はスタートが良すぎて前に位置し過ぎたことと、(斤量差という意味で)56kgの斤量が厳しかったか。ただコース条件的には前走がベスト。枠的にも朝日杯のように位置取りを下げすぎる不安もある。
レイエンダ
自分はこの馬を兄のレイデオロよりもクラシックディスタンス向きと評価しているので、マイル続戦のここは無印。
この中間ルメール騎手が騎乗していないのも、そこまで期待されていない?