この時期は芝の中距離のハンデG3が少ないこともあり、福島記念は案外と好メンバーが集います。福島は東京や京都と比べると時計を要すこともあり、夏の北海道や福島で活躍した馬が力のいる馬場を求めて出走してくることもしばしば。過去5年の優勝馬を見てもミトラ、ヤマカツエース、ウインブライト、スティッフェリオなど、後のG2勝ち馬やG1でも通用している馬が多いです。今後を占う意味でも、注目の一戦でしょう。
また、福島記念は夏の七夕賞と同じ福島芝2000mが舞台。このコースは最初の1コーナーまでの距離が約505mと長く、更にテンから2度の坂を下るために、福島芝1800mよりも前半が速くなる傾向があります。最初の下り坂で競り合うと、必要以上にペースが上がることになるので、その結果、ハイペースとなり、差し、追い込み馬が台頭することもあります。
マルターズアポジーが逃げ切った3年前のように、逃げ馬が1コーナーまでに楽々とハナを奪えれば、スローペースになる場合もありますが、そのようなレースは稀。大半は逃げ馬や積極歴にレースを運びたい馬が出走しているので、福島記念はかなりの確率で平均ペースよりも速い流れになります。
今年も逃げ馬はリリックドラマのみ。ただし、この馬はマルターズアポジーのようにテンのスピードがないので、他先行馬に競られる危険性はあります。外枠のアロハリリーやウインイクシード、マイネルファンロンやステイフーリッシュと先行馬が案外と多いだけに、スローペースと見せかけて、平均ペースくらいまで上がりそう。場合によってはハイペースになる可能性も視野に入れて予想を組み立てたいです。
よって、◎には、2〜3走前の福島2000m戦でともに2着と好走した(10)クレッシェンドラヴを推します。特に前々走の七夕賞は、超ハイペースで前がしっかりと崩れたとはいえ、3着ロードヴァンドールに3馬身差をつけた点は優秀。一方、オールカマーでは逃げ馬不在でスティッフェリオが楽に逃げ切る超々スローペース。中団でレースを進めたものの直線では進路がなく、追い出しを待たされる不利がありながらも0.5秒差(5着)までやれた点は、この馬の地力強化を示すものでしょう。適条件の今回で、反撃を期待します。
○は、前々走の七夕賞では、◎クレッシェンドラヴを2着に降して優勝した(12)ミッキースワロー。超ハイペースを後方から捲り勝ちを決めた内容は、◎クレッシェンドラヴ以上でした。しかし、クレッシェンドラヴと違うのは、休養明けの前走。オールカマーでは、外から勢いに乗せて2着と好走していること。前走で不利があって凡走したクレッシェンドラヴよりも上昇度が低いので、今回は対抗評価までとしました。
▲は、今年の中山牝馬Sで本日のエリザベス女王杯出走のフロンティアクイーンと0.1秒差(5着)、次走の福島牝馬Sでも2着の(1)フローレスマジック。福島牝馬Sはかなりのスローペースに恵まれたものですが、緩みないペースを外からロスを作りながら動いて、直線早め先頭から0.1秒差の中山牝馬Sはなかなか優秀な内容。近走は調子落ちというよりも、マイル戦を使われて追走に苦労しているのが敗因でしょう。序盤から動ける馬ではないので、中距離のほうが合うと見て、巻き返しに期待します。
△に3走前の福島民報杯ではかなり速い流れを外から動いて、◎クレッシェンドラヴを撃破した(5)レッドローゼス。この馬はその後がひと息ですが、今回は再び立て直されて2戦目。前走のオクトーバーSはハイペースでもないのに先行して大敗し過ぎでなだけに、本当に良くなるのはもう少し先と見ていますが、今回の出走馬が前走で大敗か休養明けの馬ばかりなだけに、良化途上でも馬券圏内に食い込んでくる可能性があるでしょう。
あとは昨年のローズSを制して、本番・秋華賞でも3着と善戦した(11)カンタビーレ。この馬は休養明けで一気距離短縮となった3走前の阪神牝馬Sでも、かなりのスローペースを前へ前へとおっつけながら勝ち馬と0.1秒差(6着)に好走。次走のヴィクトリアマイルは二走ボケで殿負けを喫しましたが、休養明けの前走・府中牝馬Sをひと叩きされての今回は、更なる前進に期待します。この馬もマイルよりも中距離でこそでしょう。
他では、緩みないペースで逃げた前々走WSJS・第2戦ではウインイクシードの2着に敗れたものの、前走のトルマリンSではマイペースで逃げて楽勝と、近走充実の(2)リリックドラマ。他先行馬が競り掛けず、前走同様に内枠を利してマイペースで逃げられれば、一発あるでしょう。
最後に今年の京都記念の2着馬で、その後の鳴尾記念、函館記念ともに3着の(9)ステイフーリッシュ。前走の札幌記念はG1馬4頭の参戦でハイレベルだったにせよ、9着というのはさすがにひと息の結果。しかし、前走後はリフレッシュ放牧に出されており、その効果があればここで変われるかもしれません。