最強牝馬決定戦とも位置付けられる一戦。ここまで歩を進めた3歳世代牝馬トップクラス層と古馬世代牝馬トップクラス層の(事実上)初めての“お手合わせ”となる局面だけに、昨年は人気の3歳馬が全滅・3年前は4歳馬による上位独占など、世代別に偏った決着も散見されるレースとなっています。そこでは世代間の能力比較が、キーポイントとなってくると言えるはずです。
それを解き明かす手掛かりに、各世代牝馬の3歳時の相対的な成績比較(11月1週目時点・古馬混合2勝クラス戦・芝1600以上に限定した世代別の成績比較)が有力なソースになります。
そのデータを見比べると、現3歳世代牝馬は[8-4-7-25]で連対数12・連対率27%、現4歳世代牝馬は[6-3-6-23]で連対数9・連対率24%、現5歳世代牝馬は[8-6-3-28]で連対数14・連対率31%で、やはり傑出馬を多数輩出中の現5歳世代牝馬のレベルの高さが裏付けられ、それに対して降級制度廃止初年度で本来数字を伸ばし易いはずの背景も踏まえれば、現3歳世代の低調さも指摘できます。
上記データから強調できる世代は、4歳よりも3歳よりも5歳だろうと。そして、エリザベス女王杯史で言えば、その現5歳世代が頭角を現しつつあった2年前のレースこそ近年最高レベルの一戦だっただろうと。そこで上位入線という輝かしい実績を持ち、その後もトップクラス層に君臨し続けるクロコスミアは今でも高評価に足り得る一頭であると見ます。
(一つ釘を刺しておきますが、本年のエリ女は普通に3歳馬は馬券に絡んでくるはずです。それは予防線を張るとかではなく、一つ上の4歳世代も低レベルだったのでその比較では決して見劣らないという点、そして(Hレベル世代5歳馬の出走は無理筋な上がり馬2頭のみなど)事実上クロコスミアを除けば“ほとんど3歳馬と4歳馬しかいないメンバー構成戦”ですので…そうに決まっています。上記の話は若駒よりも“クロコスミア”の辿った戦績に価値があるという意味合いで記しています。)
そのクロコスミアも今期は連続凡走中ですが、それはそういう戦略的に戦績凹凸させるローテが主な背景です。
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●18秋:札幌記念8着→府中牝馬5着→エリ女2着
●19春:中山牝馬6着→阪神牝馬5着→VM3着
●19秋(予定):札幌記念7着→府中牝馬S5着→エリ女
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今春シーズンは当初からVMが本番との話で、実際にも有言実行の叩き良化過程でのG1激走。
今期も『秋は府中牝馬Sあたりから始動しようかと思っていたんですが、放牧先で状態が良かったので前倒しで札幌記念を使うことにしました。そうしたら、エリザベス女王杯まで2回使えてベストなローテーション』との談話の通り、本番エリ女の前に2度レース使う為の札幌記念出走始動との話。
上記2シーズン同様に、シーズン初戦の札幌記念では休み明け初戦・叩き台としての凡走を喫しましたが、そのG1激走した過去2シーズンと酷似する良くもなく悪くもないという結果から入ったとも言えます。
そしてこれまた同様に、今回のシーズン2戦目の府中牝馬Sでは前哨戦としての理想的な負け方でのチョイ負け(5着)で…いよいよ3期連続の本番G1激走を完全に視界に捉えて=満を持してのエリ女勝負と言えます(今年も足りる可能性が高いと見て推奨します)。
ラッキーライラックは揉まれ弱さを秘める馬で、極端内枠がリスク。
スカーレットカラーは前走府中牝馬Sが嵌まる競馬での激走だったが、今回はスローペースでの後方競馬になりそな点で果たして。
ラヴズオンリーユーはココが大目標というよりは次走にG1転戦を視野に入れての出走態勢で、また1週前にデムーロ騎手が猛時計調教を施さねばならなかった=急仕上げ懸念。
それらよりは、前走G1激走については色々恵まれた点はあるとはいえども、今回に向けての目に見えての不安点は抱えていないクロノジェネシスが最も馬券内に入る可能性が高い相手馬と見て。