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牡馬クラシック初戦である皐月賞では、僅差ではあったが一強+二強の見立て通り◎→○→▲で決着。ペース、位置取り、4着以下との差からみて、この枠順であれば10回やれば着順の違いこそあれ10回ともこの3頭で決まっていたと言っても過言でないくらいには上位3頭はぞれぞれ強い内容であった。
結論から言えば、日本ダービーもこの3頭で決まる可能性が高い。まずはこの3頭の見解を簡単に述べることとしたい。
サートゥルナーリア
前走は不利だけは受けるまいと終始外を選択した競馬で1着。着差こそつかなかったが前走一番高いパフォーマンスを示したのは間違いなくこの馬。一瞬の脚に長けており包まれる心配がなく、フィジカル面だけでなくメンタル面の強さも備えている点で死角がない。ロードカナロア産駒ということで距離延長について疑問を持たれる方もいるかと思うが、ロードカナロアは現役時代は短距離で名を馳せたものの父親としては母系を上手く引き出すところがあり、母がオークス馬であればこの距離が長すぎるということはないとみている。むしろ心配すべきは折り合い面。兄と比較すればおとなしいとはいえ、この馬も気性が勝っているところが見受けられるので、テン乗りのレーン騎手がいかに落ち着かせられるか。レーン騎手が人気を裏切るパターンにかかる馬をなだめられなかったレースが目立つのは、レーン騎手だからこそそういう馬を任されているという期待値が込められているとはいえ気になるところである。
ヴェロックス
前走はケチのつけようがない完ぺきな騎乗に見えた。それだけに接触があったとはいえサートゥルナーリアに敗れたという事実はあまりにも大きい。川田騎手とコンビを組んだ3戦でいずれも理想的な運びができているのは大きな武器でここも簡単に崩れることは考えづらいが、他の2頭に比べれば決め手で劣るので広いコースに替わってどうか(恐らく川田騎手は決め手比べにならないように動くと思うが)。脚質的にどうしてもサートゥルナーリアにマークされる立場になってしまうのも分が悪い印象だ。
ダノンキングリー
共同通信杯で見せた上がり32秒9の脚の印象が強いかもしれないが、この馬の最大の魅力は、ひいらぎ賞と共同通信杯の全く異なる二つのペースで強い競馬をした点にある。前走は結果的にはあの位置で競馬をして正解で戸崎騎手を褒めるしかないのだが、この馬からすれば余所行きの競馬をしたことは間違いない。その点でサートゥルナーリアとの勝負付けはまだ完全についていないように思う。陣営が言うように2400mという距離はよろしくはないが、東京2400mにおいては中距離適性があれば力でカバーできる範囲である。
枠順も加味しての3頭の力関係の序列は、サートゥルナーリア、ダノンキングリー、ヴェロックスの順。その上で、サートゥルナーリアとヴェロックスの逆転はないが、サートゥルナーリアとダノンキングリーの逆転はあり得るとみる。
ダノンキングリーとサートゥルナーリアの逆転可能性についてだが、適性云々の話ではなく、駆け引きによって生まれると考えている。その糸口は先週のオークスにある。
先週のオークスは1000m通過が59秒1。これまでも1000m通過が60秒を切る年はあったし、馬場を考えればめちゃくちゃ速いわけでもない。ただ特殊だったのがここからで、例年通りであればここから一旦ペースはゆるみラスト2ハロンの勝負になるのだが、今年はラスト4ハロン目の区間から3ハロン連続で11秒台のラップをマークしており、20年遡っても一度もない異質なレースラップだったといえる。この要因は二つ考えられて、一つは武藤騎手が逃げたこと、二つ目がペースアップのトリガーがレーン騎手であることである。前者については、武藤騎手はオークスがGI2度目の騎乗で、大舞台で逃げるという経験自体が初めて。ペース感覚を掴みきれていなかった可能性はある。後者については、外にいたエールヴォアが抑えきれないに感じだったとはいえ、レーン騎手騎乗のコントラチェックが残り600mの地点で先頭に立っていることからペースアップの要因の一つにレーン騎手の仕掛けがあったといえる。
今週はどうか。前走逃げて勝ったリオンリオンが横山(典)騎手の騎乗停止により横山(武)騎手に乗り替わり。横山(武)騎手はこれがGI初騎乗である。似た状況が生まれているといえないだろうか。レーン騎手は今週はコントラチェックの位置では競馬しないという反論はもっともであるが、前走のように馬体を合わせる形にしたくない川田騎手が代わりにトリガーとなる可能性は高いと思う。レーン騎手は川田騎手をマークする以上、早めに動けばつられて早めに動くだろう。ここに隙がないかということである。
ダノンキングリーは、先にも触れたがひいらぎ賞で1000m通過57秒6のハイペースを中団から上がり最速の脚で楽勝している経験があり、最後も脚があがっていなかったことをみるに持続力勝負もかなり強い。距離もギリギリな分余計な動きはしたくないし、前走とは異なりサートゥルナーリアをマークできる枠に入ったので、サートゥルナーリアの仕掛けに合わせて仕掛ければ、ペースが落ち着くにしろ流れるにしろ、サートゥルナーリアを交わせるにしろ交わせないにしろ2着以内は堅いのでないかと思う。
したがって本命をダノンキングリー、対抗をサートゥルナーリアとさせていただきたい。
▲には3番手という意味を込めてヴェロックスとする。
ヴェロックスは他の2頭の得意な形に持ち込まれたくないはずなので、スローにしろ流れるにしろ、後半は持続力勝負になりやすいとみている。先週のオークスはそれだけ特殊なレースになっていながら3着までに入った馬の4角の通過順は10番手、4番手、5番手であり極端に差しが決まったわけではないこと、今週からCコースに変わり内が伸びる馬場に戻ることを踏まえ、4角通過順が10番手以内で競馬ができそうでかつ持続力勝負に向いていると思われる馬3頭を紹介したい。
一頭目は1番ロジャーバローズ。前走は距離延長&外回りでしっかりとパフォーマンスを上げてきた。前走は1000m通過60秒フラットからの残り4ハロン目から11秒台が続くペースを自ら作っている点で評価できる。33秒台どころか34秒台の上がりも出せていないが、そもそも広いコースを走ったのは前走が初めてで、合っているように思わない内回りコースで上がり最速の脚を2度使えているので、持続力タイプなのは確かだが根本的に出せる上がりが足りないとは思わない。この枠に入ったことで予定以上に人気になってしまうのは残念だが、この枠に入ったこと自体は歓迎したい。
二頭目は9番ニシノデイジー。ダービー直結レースの東スポ杯2歳Sの勝ち馬。このレースはラスト4ハロン46秒2と高い持続力が問われたレースであった。前走はかなりかかってしまい、騎手も制御できずに終わってしまった。前走をみると距離延長はとても歓迎できないが、この並びの9番枠なら最内で我慢する競馬をすることはなんとか出来そう。デビューから乗り替わりのない二頭の内の一頭なので(もう一頭はダノンキングリー)、意地を見たい。
三頭目は12番アドマイヤジャスタ。今年に入っての2戦が案外に映るが、すみれSはサトノルークスとの間で機動力の差が出ただけで力負けではないし、前走はスタートで後手を踏んでしまいレースに参加できていなかった印象が強い。発馬が決まることが前提となるが、持続力勝負ならチャンスはある。特に有力馬の仕掛けが早くなる展開になればスタミナ豊富なこの馬はかなり脅威になる。
買い方だが、着差はどうあれ基本的にどの展開でも本命対抗の2頭で決まると思われるので、この2頭を1、2着にすえた3連単フォーメーションを本線とする。サートゥルナーリアが3着以下に敗れた場合をどう捕捉するかを考えた結果、ダノンキングリーから印の馬に馬連を流すのが一番広いと思ったのでそれを押さえにする。ただサートゥルナーリアが崩れる展開の時はヴェロックスも崩れる展開であるし、押さえたところでプラスにならないのでヴェロックスとの組み合わせは不要としたい。