ラップギアコース適性値【瞬8平2消0】に近い比率の馬が有利
番馬名 【ラップギア】瞬発指数
01シェーング【瞬1平1消0】105
02エールヴォ【瞬2平2消0】107
03ノーブルス【瞬2平0消0】101
04クロノジェ【瞬4平0消0】112
05ルガールカ【瞬3平0消0】107
06ホウオウカ【瞬2平2消1】 86
07アウィルア【瞬2平1消0】109
08グランアレ【瞬1平1消0】119
09アクアミラ【瞬2平0消0】 98
10フィリアプ【瞬1平1消0】 92
11メイショウ【瞬0平3消0】 91
12ノーワン 【瞬1平1消0】 93
13ジュランビ【瞬1平0消1】100
14ビーチサン【瞬3平0消0】110
15ダノンファ【瞬5平0消0】112
16シゲルピン【瞬1平1消0】103
17レッドアス【瞬1平1消0】 80
18プールヴィ【瞬1平3消0】 93
阪神ジュベナイルフィリーズからチューリップ賞、桜花賞と、すべて“阪神芝1600メートル”のコースで施行される、謎の牝馬クラシック路線。同コース施行であるがゆえに、それら3つのレースが密接な関係を持っていることは言うまでもないのだが、平均を出してみると、それぞれのレースが持つ特徴が少しずつ違うことも分かってくる。
阪神ジュベナイルフィリーズ、チューリップ賞と桜花賞、過去10年勝ち馬のタイムをジックリと比較、勝ち馬の前半1000メートルタイムと、ラスト600メートルのタイムを一覧にしてみよう。ちなみにこれは“レース先頭馬の通過タイム”ではなく、“勝ち馬の通過タイム”である。
※阪神競馬場改装の2006年12月以降
■阪神ジュベナイルフィリーズ勝ち馬
2006年 58.9-34.2 ウオッカ 桜花賞2着
2007年 58.6-35.2 トールポピー 桜花賞8着
2008年 60.4-34.8 ブエナビスタ 桜花賞1着
2009年 60.6-34.3 アパパネ 桜花賞1着
2010年 61.8-33.9 レーヴディソール 桜花賞不出走
2011年 60.8-34.1 ジョワドヴィーヴル 桜花賞6着
2012年 58.3-35.9 ローブティサージュ 桜花賞5着
2013年 59.8-34.1 レッドリヴェール 桜花賞2着
2014年 60.4-34.0 ショウナンアデラ 桜花賞不出走
2015年 58.7-35.8 メジャーエンブレム 桜花賞4着
2016年 59.2-34.8 ソウルスターリング 桜花賞3着
2017年 60.6-33.7 ラッキーライラック 桜花賞2着
2018年 60.1-34.0 ダノンファンタジー
■チューリップ賞勝ち馬
2007年 60.2-33.5 ウオッカ 桜花賞2着
2008年 61.3-34.5 エアパスカル 桜花賞9着
2009年 61.8-34.7 ブエナビスタ 桜花賞1着
2010年 61.4-34.7 ショウリュウムーン 桜花賞4着
2011年 60.9-33.6 レーヴディソール 桜花賞不出走
2012年 61.5-34.0 ハナズゴール 桜花賞不出走
2013年 60.2-34.7 クロフネサプライズ 桜花賞4着
2014年 60.6-33.7 ハープスター 桜花賞1着
2015年 61.8-35.9 ココロノアイ 桜花賞10着
2016年 59.8-33.0 シンハライト 桜花賞2着
2017年 59.4-33.8 ソウルスターリング 桜花賞3着
2018年 60.1-33.3 ラッキーライラック 桜花賞2着
2019年 60.1-34.0 ダノンファンタジー
■桜花賞勝ち馬
2007年 60.1-33.6 ダイワスカーレット
2008年 59.9-34.5 レジネッタ
2009年 60.7-33.3 ブエナビスタ
2010年 59.2-34.1 アパパネ
2011年 59.6-34.3 マルセリーナ
2012年 60.3-34.3 ジェンティルドンナ
2013年 59.5-35.5 アユサン
2014年 60.4-32.9 ハープスター
2015年 62.5-33.5 レッツゴードンキ
2016年 60.4-33.0 ジュエラー
2017年 59.1-35.4 レーヌミノル
2018年 59.9-33.2 アーモンドアイ
実際のところ、この一覧を見ただけではピンと来ないと思われるのだが、それぞれの平均を出してみると、少しずつ傾向が出始める。
■阪神ジュベナイルフィリーズ勝ち馬平均
1000m通過 59秒86 ラスト600m34.52
■チューリップ賞勝ち馬平均
1000m通過 60秒70 ラスト600m34.11
■桜花賞勝ち馬平均
1000m通過 60秒13 ラスト600m33.97
要するに、阪神ジュベナイルフィリーズはハイペースから上がりのかかるレースであり、チューリップ賞はスローペースから上がりの速いレース。これは『多頭数G1』と『少頭数トライアル』というレースの性質がそのまま出ているものと思われる。
そして問題の桜花賞は、とにかく上がりが速いのが特徴。チューリップ賞より遥かに速いペースから、それでいてチューリップ賞よりさらに速い上がりが要求されるレース。『チューリップ賞の時計が速い年は桜花賞と連動する』と言われる理由はここにあるのではないかと思われる。
そう、桜花賞を勝つためには、それなりの時計的な裏付けが必要なのだ。具体的なラインとしては「1600m以上の距離を33秒台で上がって勝ち負けできた馬」。
■過去10年の桜花賞馬
2007年ダイワスカーレット シンザン記念で33秒7など
2008年レジネッタ 500万下で33秒7
2009年ブエナビスタ 新馬戦で33秒5
2010年アパパネ 500万下で33秒6
2011年マルセリーナ 新馬戦で33秒9
2012年ジェンティルドンナ 未勝利戦で34秒1
2013年アユサン アルテミスS2着で33秒5
2014年ハープスター 新潟2歳Sで32秒5など
2015年レッツゴードンキ 阪神JF2着で33秒6
2016年ジュエラー チューリップ賞で33秒0
2017年レーヌミノル とくになし(>_<)
2018年アーモンドアイ 未勝利戦で33秒5
2017年レーヌミノルがデータ・ブレイカーになってしまったのだが、それ以外は桜花賞12番人気だったレジネッタも、桜花賞7番人気だったアユサンも、もちろん5番人気だったレッツゴードンキもオールクリア。ここに桜花賞というレースの特徴が隠れているのではないかと思われる。
余談だが、2012年1番人気のジョワドヴィーヴルより強いと公言していたジェンティルドンナに桜花賞で◎を打たなかったのは、こういった不安点があったから。そういった意味ではジェンティルドンナが桜花賞を取れたのはラッキーだった思うし、桜花賞をクリアできるなら三冠級だと思っていただけに、桜花賞馬として臨んだオークスで3番人気にしか支持されなかったのは大変な驚きだった。
さらに余談になるのだが、このデータで面白いのは、2006年12月、阪神芝外回りコースが全面改装される前の桜花賞では、1頭たりとも1600メートル以上の距離を33秒台で上がって勝ち負けできた桜花賞馬がいないというここと。ファレノプシスもテイエムオーシャンもスティルインラブもラインクラフトも、1頭たりともこの条件をクリアしていない。拙作・ラップギアで指摘している、旧阪神芝内回り1600メートル【瞬3平5消2】と現阪神芝外回りメートル【瞬8平2消0】コース適性の違いが、如実に表れているのだと思われる。
もうひとつタイムについて言及すると、芝1600mで1分35秒を切る走破タイムを持っていることが望ましい(アーモンドアイを除く11頭中10頭が該当)。さらに言うと、その中でも最速が1分34秒9だったブエナビスタ以外の9頭は、すべてマイルで1分34秒5を切る走破タイムを持っていた。
ちなみに現在のコースになって以降の桜花賞(2007年〜)だが、この要項をクリアできていない1番人気は7頭すべてが敗れている。
■桜花賞、過去10年の1番人気馬
2007年1番人気 ウオッカ 2着 条件クリア○
2008年1番人気 トールポピー 8着 条件クリア×
2009年1番人気 ブエナビスタ 1着 条件クリア○
2010年1番人気 アパパネ 1着 条件クリア○
2011年1番人気 ホエールキャプチャ 2着 条件クリア×
2012年1番人気 ジョワドヴィーヴル 6着 条件クリア×
2013年1番人気 クロフネサプライズ 4着 条件クリア×
2014年1番人気 ハープスター 1着 条件クリア○
2015年1番人気 ルージュバック 9着 条件クリア×
2016年1番人気 メジャーエンブレム 4着 条件クリア×
2017年1番人気 ソウルスターリング 3着 条件クリア〇
2018年1番人気 ラッキーライラック 2着 条件クリア〇
2007年2番人気 アストンマーチャン 7着 条件クリア×
2008年2番人気 リトルアマポーラ 5着 条件クリア×
2009年2番人気 レッドディザイア 2着 条件クリア×
2010年2番人気 アプリコットフィズ 5着 条件クリア×
2011年2番人気 マルセリーナ 1着 条件クリア○
2012年2番人気 ジェンティルドンナ 1着 条件クリア×
2013年2番人気 レッドオーヴァル 2着 条件クリア×
2014年2番人気 レッドリヴェール 2着 条件クリア×
2015年2番人気 ココロノアイ 10着 条件クリア×
2016年2番人気 シンハライト 2着 条件クリア○
2017年2番人気 アドマイヤミヤビ 12着 条件クリア〇
2018年2番人気 アーモンドアイ 1着 条件クリア×
2007年3番人気 ダイワスカーレット 1着 条件クリア○
2008年3番人気 オディール 12着 条件クリア×
2009年3番人気 ダノンベルベール 8着 条件クリア×
2010年3番人気 オウケンサクラ 2着 条件クリア×
2011年3番人気 ダンスファンタジア 7着 条件クリア×
2012年3番人気 アイムユアーズ 3着 条件クリア×
2013年3番人気 トーセンソレイユ 7着 条件クリア×
2014年3番人気 フォーエバーモア 8着 条件クリア×
2015年3番人気 クイーンズリング 4着 条件クリア×
2016年3番人気 ジュエラー 1着 条件クリア○
2017年3番人気 リスグラシュー 2着 条件クリア〇
2018年3番人気 リリーノーブル 3着 条件クリア〇
2番人気、3番人気を見ても、これをクリアできていなかった桜花賞馬は2012年ジェンティルドンナと2017年レーヌミノルの2頭だけであり、1〜3番人気に限ると(11年間)延べ33頭のうち11頭が「1600メートル以上の距離を33秒台で上がって勝ち負けできた馬」で、11戦【6-3-1-1】という成績。
2017年に大きく崩れてしまったのだが、2016年までは8戦【6-2-0-0】であり、2着に敗れた2頭も2007年ウオッカと2016年シンハライト、同年該当馬のダイワスカーレットとジュエラーが勝利しており、パーフェクトと言っても過言ではないデータだった。
何より、桜花賞12番人気だったレジネッタも、桜花賞7番人気だったアユサンも、5番人気だったレッツゴードンキもすべてこのデータをクリアしているという点が素晴らしい。ちなみに(逆に)要項を満たしていなかった1〜3番人気馬は22戦【1-5-1-15】。勝利5%、単回収22%となっている。
さてここでお待ちかね、今年の「1600メートル以上の距離を33秒台で上がって1分34秒5以内で勝ち負けできた馬」にご登場願おうか。
(1)シェーングランツ 1分33秒7で33秒8
(3)ノーブルスコア 1分34秒3で33秒8
(4)クロノジェネシス 1分34秒2で33秒1
(8)グランアレグリア 1分33秒6で33秒5
(14)ビーチサンバ 1分34秒2で32秒9
(15)ダノンファンタジー 1分33秒9で33秒7
(16)シゲルピンクダイヤ 1分34秒3で33秒6
……7頭もいるのか!? 例年なら、この時点で3頭〜多くても4頭ほどに絞られてくるのに。しかしこの中でも、よりハイレベルに条件をクリアしていると思えるのが
(8)グランアレグリア 1分33秒6で33秒5
(1)シェーングランツ 1分33秒7で33秒8
(15)ダノンファンタジー 1分33秒9で33秒7
(14)ビーチサンバ 1分34秒2で32秒9
(4)クロノジェネシス 1分34秒2で33秒1
の5頭。どれも人気目の馬か。
複数回記録しているのは(4)クロノジェネシスの2度(阪神JFとクイーンC)だけで、桜花賞勝ちの基準を明確にクリアしているのは(15)ダノンファンタジー、(8)グランアレグリアと(1)シェーングランツの3頭。そうか、ここで(1)シェーングランツが入ってくるのか。しかし内容的には、それでもやはり(8)グランアレグリアと(15)ダノンファンタジーの新馬戦が至高。これが新馬戦で出るのは本当にすごい。
(8)グランアレグリアは朝日杯フューチュリティSの敗戦で評価を落としている格好だが、同レースでの『1分34秒3での34秒6』は、(8)グランアレグリアが力を出し切った上での敗戦ではないことは明白。要は、ちゃんと走れれば(8)グランアレグリア、同馬に気性面の問題が出れば(15)ダノンファンタジーということか。
そういった話なら、本命は迷うことなく(8)グランアレグリア。(15)ダノンファンタジーが実績で上回ってくれているので、オッズ的にもおいしくなっているようにしか見えない。朝日杯フューチュリティSでは単勝1.5倍でも◎を打たなかった(8)グランアレグリアに、今回は◎を打つ。展開面やペースからも揺らぎなし、何なら後方で折り合いに専念してくれても良いぐらいだ。
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※【ラップギア】とは、各レースラップのラスト4ハロンのみに注目した適性分析です。JRA発表のラップタイムを一定の公式に当てはめ、誰でも簡単に算出することができます。数値が大きければ良いというものではなく、コース適性値と“比率”の近い馬が有利だと考えられます。
※ 瞬発指数は、“走破タイム”を一切考慮せず、ラップタイムを一定の公式に当てはめて算出した競走馬の能力値です。数値は全階級に対しての絶対値であり、下限70〜上限130辺りだと考えられます。競走馬の能力は変動相場であり、1走ごとに変化します。