高松宮記念が行われる中京芝1200mの舞台は、スタートして120mほど緩やかに坂を上って、そこから4コーナー過ぎまで坂を下って行くコース。さらに最初の3コーナーまでの距離が約315mと短いため、競走馬がもっとも加速がつく前半2F目の10秒台のところで3コーナーに突入することになります。
ここで速い脚を使わせてしまうと、性能のいい馬ほど減速するのが難しく、2016年のように前半2F目で10秒1まで速くなると、10秒1-10秒9-10秒8というように、ペースが上がるしかなくなってしまいます。つまり、中京芝1200mの理想的な騎乗は、2F目の3コーナーで脚を使わせないことであり、レース前半、内で脚をタメられれば理想的です。
また、外枠の逃げ、先行馬は、本来の脚質にこだわって騎乗すると、3コーナーで速い脚を使わせることになるので不利になります。当然、内枠の逃げ、先行馬も外から被されないように抵抗して行くために、概要としては外枠に、逃げ、先行馬がいればいるほどオーバーペースが発生しやすくなるのです。
2016年は、逃げ馬のローレルベローチェやハクサンムーンが外枠だったために、内枠のミッキーアイルらが抵抗して、オーバーペースが発生しました。昨年も外目からハナを主張するダイアナヘイローに内からセイウンコウセイらが抵抗したため、オーバーペースが発生しています。
今年は、前走のオーシャンSで前半3F32秒3で通過したモズスーパーフレアが外枠。この馬に抵抗して行けるだけのスピードがあるのは、ラブカンプーくらいですが、前走では内から抵抗したからこそ、オーバーペースに巻き込まれる形となり、大差シンガリ負けを喫しました。
逆にナックビーナスは、ラブカンプーが抵抗してくれたからこそ、一歩引く形で、展開を考えた場合のいい位置を取ることができたために、2着好走へと繋がりました。こうなると今回は、ラブカンプーが消極的になりがちですが……今回もフェブラリーSのインディのようになるのでしょうか? 個人的には中京が超高速馬場の上にモズハイパーフレアの性能もいいために、32秒台で行ってしまうのではないかと見ています。
よって、◎には、昨年の阪神Cで勝ち馬ダイアナヘイローと0.1秒差(2着)の(3)ミスターメロディを推します。1番人気に支持された前走の阪急杯は、休養明けのぶん、直線序盤で苦しくなって外に斜行し、他馬に接触する不利があって7着凡退。しかし、前走がスタミナ不足による負け方だったからこそ、今回は勝ちに行かない公算大。また、モズスーパーフレアのレースメイクならば、内目から楽に好位が取れるので、この馬を本命にしました。
〇は、前走のオーシャンSを超高速馬場でもないのに、前半3F32秒3-後半3F34秒8のハイペースで逃げ切った(15)モズスーパーフレア。この馬は何を隠そう、小倉新馬で父ロードカナロアの新馬を1pt上回る、PP指数をマークしていた素質馬。その後、紆余曲折ありながらもここへ来て素質が覚醒したのは確か。もはや国際G1通用レベルの力はありますが、逃げ馬は激走後の凡走率が高く、自分の型に持ち込めないと脆い面があるのも事実。今回は逃げ馬が逃げ切るのに、好ましいローテーションではないので、対抗評価までとしました。
▲は、京版杯、シルクロードSと重賞を連勝した(12)ダノンスマッシュ。前走のシルクロードSは、セイウンコウセイの単騎逃げの形ですが、前半3F33秒3-3後半3F35秒0のハイペース。2番枠を利して最内で立ち回った同馬は、直線で進路がなく、外に出すロスはありましたが、先団を見ながらの競馬になったこの馬は、展開に恵まれたのは確か。勢いある4歳馬ですが、過剰人気馬でもあるので、狙い下げてこそ配当妙味です。
以下特注馬として、一昨年のこのレースの覇者で、昨年は函館スプリントCを制した(4)セイウンコウセイ。昨秋のスプリンターズSはオーバーペースに巻き込まれて失速、前々走のJBCスプリントは実績のないダート、前走のシルクロードSでもオーバーペースで逃げて大敗と敗因が明らかなだけに、今回での巻き返しを一考します。モズスーパーフレアを深追いしなければ、この馬の好走も現実的なものとなるでしょう。
△に昨夏のキーンランドCでは、前半3F33秒7-後半35秒7のハイペースで逃げて、▲ダノンスマッシュを撃破した(9)ナックビーナス。前々走のカーバンクルS、前走のシルクロードSともに〇モズスーパーフレアの2着でしたが、前走は展開に恵まれた面があるのも事実。前走くらい展開がハマれば、ここも上位争いに加われるでしょう。
あとは昨夏のアイビスサマーダッシュでは、後のスプリンターズSの2着馬ラブカンプーを撃破した(18)ダイメイプリンセス。この馬はその後の北九州記念でも超高速馬場のハイペースを終始外々から差して2着。また、スプリンターズSは、前崩れの展開が味方したとはいえ、後方の内目から馬群を捌きながら伸びて4着となかなか優秀でした。今回は休養明け3戦目。変われるとすればここでしょう。
他では昨夏のCBC賞、北九州記念を連勝した(6)アレスバローズ。CBC賞、北九州記念ともに超ハイペースで前崩れの流れに恵まれての優勝だったのは確か。しかし、今回も展開に恵まれる可能性があるでしょう。前走のシルクロードSでは、3コーナーの下りから勢いに乗って捲りに行ったものの、終いが甘くなっての勝ち馬と0.4秒差(6着)。一応、復調の兆しは見せられていたので、軽視は禁物。
最後に超オーバーペースとなった前々走スプリンターズSで先行策から押し切って3着と好走した(6)ラインスピリット。G1激走後の後の休養明けの3走前・阪神Cは、お決まりのように10着大敗でしたが、その次走のシルクロードSはオーバーペースに巻き込まれての大敗。しかし、前走の阪急杯ではレースがある程度流れる中、勝ち馬と0.6秒差(8着)まで善戦できているので、この馬も一応、押えます。