Sペース想定：内枠有利・先行有利
日曜の中山は差しがよく決まっていましたが、芝4R中、3Rまでが2000ｍ以上の距離。元から2000ｍ以上では差しが決まりやすかったので、1800ｍまでは内枠先行有利が基本線だと考えます。ただ、内は多少荒れてきていて、外の方が伸びるようです。内枠勢は直線で多少外に出せればベスト。
実力拮抗のメンバー構成。
外枠に固まった強い馬を狙うよりも、今回、人気落ちしながらも恵まれそうな穴馬から狙います。

◎1.ジャグアール
前走はスタートで内の馬にぶつけられる不利。鞍上も行く気を見せず、控える競馬に徹しました。伸びはイマイチで、新潟のSペースで上がり34.0秒に留まりました。ただ、この前走はハイレベル戦。当時の馬場でL5の58.1秒は十分に優秀です。
「前進気勢が強い馬なので、折り合い重視で運ぶ形に」という前々走は出もイマイチでしたが、すぐに下げて後方待機。800ｍ通過45.9秒のHペースでしたが、縦長馬群の後ろになりすぎました。インをロスなく回り、上がり最速の33.7秒はマークしました。こちらは1.32.6秒の好時計。本馬も1.33.1と水準以上に走っています。
3走前は先行したものの、800ｍ通過46.5秒とペースが速くなって伸びを欠きました。ただ、上位3頭が強かっただけ（内1頭がクリーンエア）で、4着とは0.2秒差と差のない競馬はできています。
4走前は800ｍ通過48.5秒のSペースを先行。上がり33.9秒は使っていますが、ジリジリという形。東京の瞬発力比べでは分が悪いのでしょう。
勝ち上がった5走前は出遅れ。800ｍ通過47.1秒と速くならなかったので、リカバリーするのにはむしろ楽だったか。3.4角はかなりの外を回すロスがありましたが、それで0.4秒ぶっ千切りました。「出遅れ・展開不利・外を回すロス」の三重苦で楽勝しているのだから只者ではありません。2着パストラーレは1勝クラスで差のない競馬を続けています。
それ以前は戦ってきた相手もかなり悪かったから勝ちきれなかっただけです。なお、未勝利時代にはここで人気想定のソルトブリーズと2度対戦して2度とも先着。今回は明らかに過小評価されていると言えます。
陣営は「ここ2走、走る気がもうひとつなのでチークピーシズを着用する。道中スムーズに運べれば前進があっていい」と前向きです。
最内枠は有利で、ある程度、位置を取って運ぶはず。人気馬が外枠に固まった分、相対的に有利でしょう。

○12.ボーモンド
休み明けの前走は1000ｍ通過60.5秒のSペースの中、離れた2番手から。絶好の展開に持ち込んだように映りましたが、残り200ｍを切ってから交わされているところを見ると、1800ｍは微妙に長い可能性も。
陣営は「前走は最後に失速したが、休養が長かったのもある。今回の方が状態はいいし、距離短縮で粘り強化を」と前向きです。
前々走は1000ｍ通過61.2秒のSペースで逃げましたが、0.1秒差の2着同着まで。ここで人気想定のトゥルーサクセサーには0.5秒先着しました。
3走前のジュニアCは出が一息で、途中から位置を押し上げていく負荷の高い競馬に。ペースも速く、ラチ沿いを通した馬が有利だったので見直せる敗戦でしょう。
未勝利勝ちはL2を11.2-11.4の余力ラップでまとめて逃げ切り。
新馬戦はL2が11.0-11.0というかなり速い余力ラップに。逃げて0.1秒差なら十分に1勝クラス上位の水準で走っています。勝ったのはクラシック路線にも乗ったルカランフィースト。

▲8.アサクサヴィーナス
前走は初角でかなり掛かり気味になって位置を押し上げる形に。また、初角で外を回されるロスもありました。800ｍ通過46.5秒のHペースの中、前を捕まえに行きましたが、脚色が同じに。むしろ、後方で溜めていたトゥルーサクセサーにハナ差交わされてしまいました。
東京マイルでは1分33秒前後で安定して走れており、1勝クラスで上位は明らかですが、折り合いが非常に難しい馬です。
7走前の中山戦でも折り合いを欠いて先行。3.4角は外目で、追い出しを待っていましたが、追ってからもあまり伸びませんでした。勝ったコントラポストはオープン入りしているので格上だったにしても、2着とはタイム差なしの惜しい競馬。
とにかく、折り合い一つですが、ずっと安定して好時計で走れてはいます。
上がり勝負では分が悪いので、中山の方が良いように思います。前走時よりも中山は時計が掛かってきており、決め手不足を補える可能性もあります。

他の人気想定馬。
9.ラヴスコール：前走は中山マイルの大外枠で不利。出遅れて後ろから。直線入口では前のトゥルーサクセサーと2馬身ほどありましたが、最後はハナ差。トゥルーサクセサー以上に展開面の不利が大きかったと言えます。前々走も遅いスタートで後方から。1000ｍ通過62.3秒のSペースで、後ろだったのは明らかに展開不利。4角でガイアメンテに先を越されて、その後ろから追いかける形。ガイアメンテは道悪を全く苦にしないので、それに次ぐ上がり35.3秒なら上々でしょう。3走前も出負け気味。800ｍ通過46.4秒のHペースで、4角では先団をすぐ前に置く位置まで進出。ただ、その後に伸びを欠いて4着まで。4走前はハイレベル戦だったとはいえ、0.8秒差の3着で。アネモネSは800ｍ通過46.5秒のHペース。発馬五分でしたが、控えて後方から。3.4角は馬場の良い外目を選びましたが、ちょっと外になりすぎました。最後の伸びは一番でしたが、馬場の良いところを選んだだけに評価は微妙。1勝クラスで上の実力を秘めているのは間違いありませんが、追走できないのは大きな弱点。好メンバーの揃ったここはまたしても届かなそうで。
11.ソルトブリーズ：前走は1000ｍ通過59.2秒のHペース。ゴーマックスの大逃げで、本馬は離れた先行集団に待機。3.4角もインをロスなく回ってきたとはいえ、決して相手も弱くない中、3馬身差も付けた実力は本物です。
勝って同条件ですが、未勝利時代にはジャグアールと2度対戦していて、2度とも先着されています。1度目は0.7秒差で、2度目は0.3秒差。しかもジャグアールの方が展開不利だと思われたレースです。力差はありそう。先行力を生かして粘る可能性はあるのですが、ジャグアールに2度も完敗している馬を相手に選びたくなくて。
15.トゥルーサクセサー：前走は出遅れて後ろから。今回、陣営は「まだ緩さがあるのでゲートが出られない。現状では前走のようなレースをするしかない」と述べています。中山マイルの外枠という点も後ろからになりそうな要因です。前走は800ｍ通過46.5秒とペースは流れてくれました。縦長だった馬群も、後半に減速して4角では凝縮気味に。最後は大外からラヴスコールとともに猛追しましたが、ギリギリ3着を確保するのが精一杯。アサクサヴィーナスをハナ差交わしました。脚を余してはいますが、現時点ではこういう競馬しかできず、大外枠の今回も届かないのでは。
16.クリーンエア：陣営が「1400メートルがベスト」だと述べています。マイルでもそう差はないでしょうが、今回は不利な大外枠。前走は800ｍ通過47.8秒のSペースを先行。前残りの中、前との差は詰めての5着。前々走は800ｍ通過47.2の平均ペースを先行。残り200ｍからは1.2着馬よりも脚が鈍って2着まで。ニュージーランドトロフィーはSペースを先行して伸びかけましたが、鞍上が「直線で手綱を離してしまって……」と述べていて、現に脚が止まっています。6走前はSペースの前残り戦。いくら前残り戦とはいえ、1度は前に離されてしまい、今回人気薄で出走のベストオブユーにも先着を許しました。1F長いマイルなら内枠が欲しかった。外枠からでも先行できるくらいに速い馬だとは思いますが、マイルでその競馬をするとガス欠を起こしてしまいそうで。

L2は後半2F・ラスト2Fを意味しています（Lはラストの「L」になります）。2Fまとめて24.0秒などと記すこともあれば、12.0-12.0のように1F毎に記す場合もあります。L5やL4も同様です。