展望：
阪神牝馬Sは牝馬限定で、かつ、少頭数になりやすいため、スローペースになりやすい重賞。
今年は逃げ馬不在で、11頭立ての少頭数。スローペースは必至でしょう。
基本的には内枠の先行馬が恵まれやすいレース。
注意すべきは今の超高速に近い阪神の馬場傾向。
阪神競馬場は高速馬場+スローペースになると外枠の差し馬が恵まれやすい。
まずスローペースではコーナーで外を回す負荷が低くなり、直線ではストレスフリーで追える差し馬が間に合いやすい、という現象が発生いたします。
対して、内枠だと昨年のルージュスティリア、2019年のラッキーライラックのように外から被されて位置を悪くする危険性が高くなります。
今年は外枠の差し馬から。

◎10.モズゴールドバレル
前走・京都牝馬Sは3F通過34.5秒のハイペースを先行。差し決着になったこと、馬体が10キロ減っていたことが敗因でしょう。
前々走は超スローとはいえ、L3が全て10秒台になる異質なラップに。好発を切って絶好の2番手に。32.5秒の上がりでまとめたのは立派。このレースに生きるでしょう。
3走前はソーダズリングの勝ったハイレベル戦。ここもスローで先行策。終い33.1秒でまとめてはいますが、勝ったソーダズリングに32.8秒の上がりを使われては厳しかったと言えます。
今回も先行策が恵まれそうなメンバー構成。
スローペースの中、前目（逃げ）から速い上がりを使える馬という点を評価して本命と致します。

○11.ライラック
前々走の府中牝馬Sが驚く内容で、かつて33.9秒の上がりが最速だった馬が33.0秒の上がりを使って3着に好走しました。1800ｍで先行できた点も評価できます。
今まで出来ていなかったことが出来るようになったのは成長の証。
前走のエリザベス女王杯は位置取りが後ろすぎました。
スローの上がり勝負になっただけに、もう少し位置さえ取れていれば、馬券内だったでしょう。
今回は位置を取るには被せられない外枠だと考えていましたが、11番の大外は絶好枠。今回も前目から速い上がりを使って馬券内に残せると考えて対抗と致します。

▲7.ドゥアイズ
速い上がりを使えないイメージでしたが、前々走のリゲルSは33.1秒の上がりをマークして意外な面を見せました。
前走・洛陽Sは800ｍ通過45.5秒のハイペースを中団から。L2が11.6-11.5の加速ラップにして押し切った点、当時の時計の掛かる馬場で1.32.6をマークした点、どちらも高く評価できます。
外から被せて位置を取れそうな枠はプラス。
ここは上位評価。

以下は無印の馬について。

1.マスクトディーヴァ
前走・東京新聞杯はゲート内で暴れたところでスタートを切られて、大きく出遅れ。その後はリカバリーしていきましたが、流石に脚を使いすぎました。これで上がり2位の脚を使って6着まで来たのはむしろ驚きです。
1000ｍ通過が57.3秒の超ハイペースになったローズSのパフォーマンスが衝撃的。
残り200ｍですでに先頭に立っていましたが、1600ｍ通過が1.31.2と破格です。
超ハイペースの中、中団よりも前に位置を取れたのだから追走力も高い。
前々走・秋華賞は直線入り口で外から蓋をされる格好になり、追い出しが遅れましたが、終いはリバティアイランドを追い詰めました。
能力は抜けていて、決め手も上位。
モレイラ騎手鞍上で、今度こそ勝ち負けになると考えていましたが、最内枠……。どんどんと被されて位置を悪くした昨年のルージュスティリア、2019年のラッキーライラックのことを思い出してしまいます。
位置さえ取れれば勝ち負けになるでしょうが、ずっと控えている馬なのでそういう競馬をするかは微妙。
力最上位でも競馬はあくまで競走です。
思い切って切ることにします。
2.ゴールドエクリプス
前走・小倉大賞典は、落馬したホウオウアマゾンと接触。出脚が付きませんでした。その後は力み気味。馬場のインが回復していたとはいえ、外から差してきている馬もいたレース。少し情けなかったか。
前走・エリザベス女王杯は距離が敗因だと思われる止まり方でした。マーメイドSは早仕掛けだったとはいえ、終い甘くなりました。
前々走の大原Sはコスモサガルマータを外から封じ込めました。コスモサガルマータは高く評価していましたが、その後が案外な結果で評価を下方修正しています。51キロの小倉記念では前有利の結果の中、差して3着に好走。
マイルに短縮するのは良さそうですが、位置を取れるかどうか。
また、速い上がりを使える馬が揃ったので、高速上がりに対応できるかもカギ。
3.テンハッピーローズ
前走・京都牝馬Sはスタート五分。直線は大外に出しましたが、コムストックロードよりも伸びを欠いたのはいただけません。あそこまで大外を回す競馬だと距離面にも敗因があったのではないでしょうか。
力を付けてきたという印象で、4走前の安土城Sはママコチャの日本レコードタイの0.6秒差。32.3秒という極限の上がりを使って4着なら上々です。
昨年の阪神牝馬Sは800ｍ通過48.0秒の超スローペース。好発から溜めて、34.0秒の上がりは使いました。
今回も同様の展開になり、間に合わないと予想します。
4.サブライムアンセム
前走はダートなので参考外ですが、スタートを決めたのは好材料。
期待したスワンSはスタートこそ決めたものの、外枠で前に壁を作れず、折り合いを欠いていました。
3走前のポートアイランドSは直線でどん詰まりの不利。不利がなければ勝ち負けだったでしょう。
この馬は元々、フィリーズレビューの時点で1分19秒台をマークしており、1600ｍよりは1400ｍの馬だと考えています。
出遅れ癖のある馬ですが、ここ3走はスタートを決めており、もう大丈夫そう。折り合いを欠くこの馬にとっては内枠もプラス。
昨年の阪神牝馬Sは最内枠で全くロスなく先行して2着に残しました。ですが、昨年は前目から33秒台の上がりを使える馬がいませんでした。今年はいるので、馬券内は難しいと考えています。
5.シングザットソング
デビュー当初は出が悪かった馬ですが、今ではすっかり安定しました。
前走・京都牝馬Sは伸びないインを突く競馬で0.2秒差5着。頑張りました。
前々走の京阪杯は馬場のインコースが悪化して外枠有利なレースに。3番枠は内すぎました。3着とは0.3秒差と、差して来てはいます。
3走前のオパールSは狭いインを突いてきて、差し切る寸前でした。
3走前の朱鷺Sはサッパリ伸びず、力を出せていないと思わせる惨敗。休み明けだったことや道中で力んでいたことが影響したのでしょう。
問題はマイルに延長する点。桜花賞は早めに手応えが悪くなった割には頑張りました。スローペースになれば持つと思います。
ですが、陣営が「逃げる手は避けて、終い伸ばすイメージ」と述べています。
6.モリアーナ
前走・AJCCは道悪の鬼が揃ったレース。この中では道悪適性で劣ると考えていましたが、上がり最速の4着と見せ場十分でした。
前々走・秋華賞は出負けして後方から。直線はインを突いて3着争いには加わる5着で、ペースが緩んだことを考えれば、及第点の内容でしょう。
3走前・紫苑Sも出がひと息で後方から。ハイペースで展開こそ向いてはいますが、直線ではとても間に合わないだろうというところから差し切る驚きの内容でした。
元々、好ラップで新馬戦を勝っていて評価していましたが、3走前から手綱を取った横山典弘騎手で真価を発揮した印象です。
問題は横山典弘騎手が位置にこだわらなそうな点。
後方から間に合うレースにはならないと考えています。
8.スピーディキック
地方馬の初芝。
さすがに買いにくい。
9.ウンブライル
2走前からブリンカーを着用。
スタートが課題の馬ですが、前走・東京新聞杯は比較的マシで中団から。伸び負けした通り、現状、牡馬相手の重賞では厳しいか。
前々走・マイルCは外枠有利の馬場でしたが、出遅れてすぐ外に出せていたので不利は防げていました。終い猛追してアタマ差の2着。脚色はこの馬が断然だっただけに勿体ないレースになりました。
昨年のマイルCは低評価だと考えていますが、この馬は猛追していたのでそれなりにやれそうです。川田騎手が怖く、次点評価なので、押さえる手もあります。

L2は後半2F・ラスト2Fを意味しています（Lはラストの「L」になります）。2Fまとめて24.0秒などと記すこともあれば、12.0-12.0のように1F毎に記す場合もあります。L5やL4も同様です。