■1番人気は勝てないのにはワケがある
マ―チSは過去10年で1番人気が優勝したのは、2020年のスワーヴアラミスのみ。同馬は2009年のエスポワールシチー以来の1番人気での優勝を達成したが、その後の一昨年も昨年も1番人気が優勝しておらず、過去10年で連対したのも2016年のバスタータイプと昨年のウィリアムバローズのみ。とにかく1番人気の勝率、連対率の悪く、マーチSは1番人気が勝てないジンクスが続いている。
これは、なぜか? ハンデ重賞だからだろう。実績馬にとってハンデ戦は目標のレースではなく、流動的に出走してくることが大半。「調子良くないが、相手もそんなに強くないから使ってみるか…」、「思ったよりもハンデが軽いから、とりあえず出走」、「実績馬でハンデ重いけど、負けてもハンデのせいにできるから、まっ、いいかぁ〜」という具合で出走してくる。ハンデが重いということよりもここを目標にしていないことが、波乱を生み出だしていると言える。
同じハンデ重賞でも秋のシリウスSよりも荒れるのは、この時期は地方では名古屋大賞典、中央ではアンタレスSやOP・リステッド競走も多数。有力馬を所有する陣営はハンデ戦のこのレースよりも、前記のレースを目標にすることが多いことが影響している。
それではどのような馬が1番人気で3着以下に敗れているのかというと、エスポワールシチーのような実績馬よりも、2014年のエーシンゴールド、2015年のマスクトヒーロー、2017年のコスモカナディアン、2019年のテーオーエナジーのように、近2走でオープンやリステッドで連対した馬。特に前走ハンデ戦で好走している馬の凡退が目立っている。
もしくは2013年のジョヴァンニ、2018年のハイランドピーク、2020年のアメリカンシードように、ダートの2勝クラス、3勝クラスを逃げ、もしくは捲り気味に上がって連勝した揉まれたことがないタイプ。前記3頭は重賞のここで逃げられず、揉まれ弱さを見せたり、逃げ馬に競り掛けてペースが厳しくなって大敗している。
人気を作り出すのは、馬ではなく人。1番人気が悪いのではなく、前記に該当するような馬は1番人気でなくとも危うい要素があるということだ。消すまでは至らずとも、疑ってかかりたい。今年もこの点を踏まえて予想を組み立てた。
■有力馬と評価ポイント
◎ (13)ミトノオー
デビュー2戦目、ダ1400mのオキザリス賞ではテンに置かれて前に行けず、キックバックを嫌がる素振りを見せて11着に大敗した。しかし、その次走の兵庫CSでは、前走で短距離戦を使われたことで6番枠からスッと加速して内に切り込みながら楽にハナを主張。ハナを取り切るとコントロールしてスローに持ち込み、3〜4角でペースアップ。4角でGoサインが出されると、2着馬(11)キリンジに6馬身差をつけて圧勝した。
その次走のジャパンダートダービーは、同型馬のテーオーリカードに絡まれ、オーバーペースで逃げて3着。その次走の日本テレビ盃もスワーヴアラミスに絡まれ、オーバーペースの逃げとなり、ここでは1.9秒差の6着に失速した。日本テレビ盃はもう少し走れても良かったが、クラシック出走後の休養で楽をさせた影響もあったのだろう。
そして前走の浦和記念では巻き返して2着。ここでも2番枠から五分のスタートだったが、二の脚の速さと枠の並びでハナを取り切る。ここでも外からテイエムサウスダンに終始プレッシャーをかけられ、ペースを落とし切れなかったが、3角で外からディクシオンが捲って来ると、それに抵抗して仕掛け、食らいついて行く。しかし、残り300mで甘くなって、2馬身半差で敗れた。
前走の名古屋GPはタフな馬場で内から好スタートを切ったマテリアルガールが引かず、逃げ争いが激化。ミトノオーとメイショウフンジンと3頭で競り合う形になり、4.9着の9着に大敗した。メイショウフンジンも2.1秒差の6着に失速したが、次走の佐賀記念ではハイペースで逃げながらも3着に巻き返している。
ミトノオーが前走で大崩れしたのは、前々走の浦和記念で自己最高指数を記録している、走れる状態ではなかったものと推測される。今回はそこから立て直されての一戦。さらに同型馬不在のここは願ってもない条件。自在性がある大外の(14)ペイシャエスがどういう出方をするかにもよるが、少なくとも前走よりははるかに楽に逃げられるはず。高速ダートだとリードを奪いにくい点がネックだが、かなり条件がハマっているここは狙ってみたい。
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