近10年の天皇賞（秋）の種牡馬ランキングを見ると、１位はキングカメハメハの【2 0 1 16】、２位がロードカナロアの【2 0 0 2】、そしてなかでも目を引くのが３位ディープインパクトの【1 8 2 41】。とにかくディープ産駒の勝ちきれなさが目立つ結果となっている。
近年のディープインパクト産駒は母父ストームキャット、デピュティミニスター系、アンブライドルズソングなど、仕上がり早でスピードが強調された、いわゆる“ダービー配合”が多く、これが古馬戦の天皇賞（秋）では、適性がややズレるということ。
実際、近10年以内に秋天を勝った唯一のディープ産駒スピルバーグは母父リシウス。リシウスは母父としてトーセンラー（ダービー11着、菊花賞３着、５歳時に春天２着、マイルCS１着）を送り出すなど仕上がりは早くないが成長力のある血統。またスピルバーグの母母父はヨーロッパを代表するサドラーズウェルズ。ダービーにはまず間に合わないか、間に合っても走れない血統構成で、スピルバーグはダービーで14着に敗れている。

また秋天と相性の良いキングマンボ系（近10年で５勝）も、キンカメの父がフランスの名マイラーキングマンボというヨーロッパ系。これらを合わせ考えると、秋天を好走するためには、日本のスピード馬場に対応できる下地と、速い追走ペースからでも脚を伸ばすことができるスタミナ、持続力が要求されるということ。

これらを踏まえて、本命にはイクイノックスを推す。同馬の父キタサンブラックの父ブラックタイドはディープインパクトの全兄ながら、ディープインパクトよりもパワーやスタミナを伝えており、キタサンブラックも母父サクラバクシンオーの助けを得ながら非常に持続力に優れたタイプだった。そして母父キングヘイローの父ダンシングブレーヴは凱旋門賞を当時のレコードで勝った馬。持続力のある血統×ヨーロッパ血統という秋天で要求される適性を満たした血統構成となっている。皐月賞、ダービーでちょい足らずで負けているものの、適性がズレながらの好走は能力があればこそ。またダービーではハイペースの流れを後方から相当長い脚で追い込んでおり、ハイペースの流れで脚を使うスタミナも証明済み。適性、能力ともに勝ち負けになる一頭だ。

そして対抗にはパンサラッサ。父はキングマンボ系のロードカナロアで、母父はサドラーズウェルズ系モンジュー。今の東京の馬場で自ら逃げてペースを作り出せるのは大きなメリット。速めのペースで行ってバテない強みは、このレース向きだ。

３番手にはシャフリヤール。ディープインパクト×エーピーインディ系といういわゆるダービー配合のダービー馬。秋天では２着までというタイプだが、言い換えれば大崩れもない。よって、３連複の軸には同馬を抜擢する。
以下、このレース好調のロベルト系などを押さえつつ、できるだけ点数を絞って勝負に向かいたい。