皐月賞はジオグリフが制したが傑出した存在ではない。それでも強いのは皐月賞組。イクイノックス、ドウデュース、ダノンベルーガを加えた「４強ダービー」だ。皐月賞5着アスクビクターモアの田辺騎手が「上位4頭は強い」と語ったのは実感だろう。とはいえ、インが悪く外が伸びた特殊なトラックバイアスだっただけに皐月賞とは違う結果になるだろう。
　史上最多のダービー6勝目、50代では初で史上最年長制覇を狙う武豊騎手がドウデュースで勝負を懸けてきた。皐月賞3着はすごみを感じる競馬だった。「思ったより位置が下がってしまった。もう少しペースも速くなると思った」と振り返ったが、あの後方待機は意図的だろう。折り合いに専念しロスの大きい馬群の大外を回って3Ｆ33秒8のメンバー最速の末脚で伸びて0秒3差3着は収穫の大きすぎる内容だ。武豊騎手は「ピッチ走法で母系の血統もあるので距離がどうかと思っていたが先入観を持ちすぎていたかもしれない。あの内容なら2400ｍも大丈夫」と手応えをつかんだ。加えて「右手前で走るのが好きな馬。左回りで直線右手前で走れる東京は合う」と強調する。何より、かつての武豊騎手が良く見せていた大一番へ向けてどれだけの脚を使えるかを試す競馬を皐月賞でしてきたことがすごい。相変わらず追い切りはほれぼれする動き。近年のダービーは完成度とスピードの持続力が求められるだけに、折り合いの不安がなくマイルの朝日杯FSを制していることも強みでしかない。今度はライバルを見ながら強気に動く。レジェンドが絶妙の騎乗で導く。ドウデュースは武豊騎手が史上最多のダービー6勝目を飾るにふさわしい馬だ。
　スケールならイクイノックスとダノンベルーガだ。イクイノックスは東スポ杯2歳S、ダノンベルーガは共同通信杯で例年ならダービー当確と思えるような豪脚で圧勝した。ともに皐月賞は余裕残しの仕上げ。距離延長はイクイノックスに好材料で印ではこちらを相手の筆頭に評価する。
　ジオグリフはドレフォン産駒でノドにも問題があり距離延長は好材料でない。ただ、馬体の充実が目立ち上積みは十分ある。アスクビクターモアは今度は好位に控えて正攻法だろう。4強が思った以上にけん制すれば早めに抜けて見せ場十分。こういうケースの波乱は前残りしかない。4強プラス1に印も馬券も絞る。ドウデュース、イクイノックス、ダノンベルーガの3頭の組み合わせを軸に馬連・3連複でジオグリフ、アスクビクターモアを押さえる。