東京11Rダービー(B〜C)
[印]
◎18イクイノックス
△12ダノンベルーガ
△13ドウデュース
▽15ジオグリフ
[見解]
ダービーには「最も運のある馬が勝つ」・「ダービーポジション(第1コーナーを前方で通過しなければ勝てない)」という有名な格言があります。それはフルゲート頭数が今よりも遥かに多い設定(最多出走頭数は1953年の33頭)だった昭和時代に言われた古い格言であり、フルゲート頭数が現行の18頭まで縮小された平成時代においても主に内有利の馬場傾向を背景から現代にも通じる格言として生き残っていました。
実際に2012年から19年までのダービーで穴をあけた馬は「1〜2枠」または「4角1〜2番手」に該当していた馬のみで、多少能力的に見劣るとしても枠順や位置取りに恵まれた馬が、本来の能力差を覆して激走を果たすということが往々にして起こっていました。つまり、ダービーとは最高峰のレースという位置付けでありながらも、必ずしも純粋な能力比べが行われているとは言い難く、「最も運のある馬が激走する」という側面も持ち合わせていたというわけです。
しかし、20~21年にかけて潮目が変わり、今となっては「最も強い馬が激走する」レースへ転化したと見ています。それは東京芝コース自体の傾向の変化が大きくかかわっています。東京芝コースで内有利の馬場傾向が発生した日は、19年には年間を通して計10日間ありましたが、21~22年の約1年半の期間では僅か2日間のみとなっています。20~21年を境に内有利の馬場傾向がほぼ消滅して、なおかつ一にも二にも末脚がモノを言う馬場へと化しているのが現状の東京芝コースです。また、下のクラスのレースよりも上のクラスのレースの方が、レースにおける末脚の比重が高まるのでおのずと差し追い込みが決まり易くなりますが、その極みであるG1レースではことさら顕著な差し追い込み有利の決着傾向が生まれています。
ダービーもその例外ではなく、20年に穴をあけたヴェルトライゼンデと21年に穴をあけたステラヴェローチェは共に「1〜2枠」にも「4角1〜2番手」にも該当しておらず、力で外から差す形で激走を果たしました。
また、12~19年の穴をあけた馬は全てトライアルレース組から輩出されていましたが、20~21年の穴をあけた馬はどちらも皐月賞組から輩出されていました。それには早期育成が主流となっている今となっては、皐月賞に間に合った馬(皐月賞組)と間に合わなかった馬(トライアルレース組)のレベル差が更に広がっているということが根底にあると考えられます。
結論としては令和時代のダービーは「枠順や展開など運が絡む要素よりも実力」・「皐月賞組」を最重視すべきで、今年のダービーにかんしても世間的にも4強と目されている皐月賞1〜4着馬を素直に評価するのが正解と見ます。
その皐月賞について…当日は外有利バイアスの馬場状態だったとされていますが、もちろん内よりも外の方が良かったのは間違いないですが、ただし世間で言われている程にそうだったとは見ていません。
同日に皐月賞の他に芝レースは計4つ施行されていましたがそれぞれ振り返って見ると・・・
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●第4レースは外差し馬によるワンツーで外有利決着でした。ただし、その勝ち馬は次走プリンシパルSで2着好走、2着馬はその後勝ち上がりで、逆に3着以下で次走好走した馬は1頭もいません。つまり上位2頭にしてもバイアスに恵まれていたのではなく、能力が抜けていた馬が外差し競馬をして勝ち負けをしたということでした。内枠で最も健闘(7着)したレッドミラージュは次走も不利もあったとはいえ7着止まりでした。
●第8レースはペースのせいでもありましたが前が残る決着でした。内枠から差して最も健闘(7着)したエレガンテレイナは次走も11着止まりで、次走連対した2頭はどちらも外を回して善戦止まりだった馬でした。
●第9レースでは一頭だけ内を狙う競馬をしたヒューマンコメディがあわや勝利という2着でした(※他に内で競馬をした馬はまだその後出走していません)。
●第12レースの出走馬で唯一次走好走しているのは、大外ブン回し競馬で3着だったヴェラアズールのみとなっています。
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最近の中山芝で最も外有利バイアスが発生したのは去年のスプリングS週だと見ていますが、当時内で競馬をして敗戦した馬は軒並みと言って良いほどに次走巻き返し好走が多発していいましたが、それを思えば同日出走馬のその後の成績を踏まえれば皐月賞の日については「そこまでではなかった」という印象を持っています。
よって、やや外有利馬場だった皐月賞の上位馬は概ね実力通りの決着だったと見て、やや差し有利馬場だろうダービーでもそっくりそのまま評価するという結論です。
また、今年の皐月賞はラスト2Fが11.4-11-5という速い脚が問われるレースとなっており、近年でそういうラスト2Fだけが速い皐月賞は19年と16年でしたが、19年は皐月賞1~3着馬がダービーでも2~4着に、16年は皐月賞1~3着馬がダービーでもそのまま1~3着になっていました。
このラップの観点でも今年の皐月賞上位馬をそっくりそのまま評価するという結論に至ります。
皐月賞1着ジオグリフは母アロマティコとその仔(つまりジオグリフの兄姉)は軒並み小回りコース巧者という血筋で、現に大箱コースでは及ばず小回りコースで上げてきた結果が皐月賞1着だっただけに…舞台適性の面で当時着順よりは評価を落として4番手評価としますが、逆に派手さはなくとも堅実なので馬券内という意味では他3頭と比較して評価を落とす必要はないはずです。
皐月賞2着イクイノックスは「https://twitter.com/jou_syou/status/1528935308422955009」のツイートの通り、中山で極度不振のキタサンブラック産駒です。そのデータは鵜呑み禁物としても、同馬にしてもやはり内回りコースも急坂も本質的には合っていないだろうタイプだけに、東京コース替わりでパフォーマンス上昇が見込めます。
ただし、体質の弱さを抱えており、皐月賞激走後の馬体減でもパフォーマンスを維持できるかは一抹の不安も有りますが…それさえ乗り越えられれば最も戴冠に近い存在と見て◎を打ちます。
皐月賞4着ダノンベルーガの前走皐月賞は馬場バイアス不利というよりも、自身の適性的に右回り小回りで窮屈な競馬を強いられる最内枠という条件は宜しくなかったという点で、左回り大箱条件替わりで皐月賞以上のパフォーマンスが期待できますので、当時着順よりも上の評価の2番手タイ評価に。
皐月賞3着ドウデュースは皐月賞では先のダービー・凱旋門賞も見据えてか、またそうではなくテンションが上がっていたので折り合い面に不安を覚えたからか、折り合い重視の後方待機策(大外ブン回し競馬)でした。それは当日のやや外有利程度の馬場状態ではややマイナスに作用したのが3着という敗戦結果に繋がったものと見ます。
朝日杯FS以来の友道厩舎の勝負調教(1週前一杯追い切り)というのも好感で、あとは皐月賞の敗戦を踏まえて常識的な位置取りに収まれば当時着順よりも上の結果が残せるはずです(ただし、もしも折り合い不安が根深い場合には、再び位置取りが極端に下がるということも全然考えられる分で2番手タイ評価まで)。
≪馬単BOX◎△△(11%×6点)、馬連▽→◎△△(10%×3点)、三連単◎→△△→△△▽(1%×4点)≫