悪い流れを断ち切りたい。アーモンドアイのヴィクトリアマイル参戦理由はそこに尽きる。ジャパンCをレコード勝ちし、ドバイターフを圧勝した時にはどこまで勝ち続けるかと思ったが、振り返れば凱旋門賞回避を表明してからがケチのつき始めだったかもしれない。とはいえ、安田記念3着は敗れたとはいえスタート直後に決定的な不利を克服し3F32秒4の驚異的な末脚で追い込んだ。1分30秒9の時計も十分過ぎる。天皇賞・秋を圧巻の強さで楽勝し再び快進撃が始まると思われたが、ここから不運が続く。香港Cを直前の熱発で断念。ダメージが軽かったために有馬記念に目標を切り替えたが、コーナー6回のトリッキーなコースは初めて。しかも、スミヨン騎手の執拗なマークで1周目の4角で外に押し出されると、そのまま折り合いを欠いてよもやの9着に敗れた。今年になってもドバイターフ連覇を狙って遠征したが新型コロナウイルスの影響でレースが中止となって出走せずに帰国した。確かに出走せずに帰国したことでリズムがどう変わるかは未知数だが、少なくとも疲れはない。ノーザンファーム天栄でじっくり乗り込み、動きには重量感を増した。美浦に戻ってから追い切りが少ないが問題はない。かねてから国枝師は「この馬のレベルなら普通の状態で十分」と語る。「まだ良くなるんじゃないかなと思わせてくれる」と指揮官も自信を隠さない。昨年の安田記念のようなアクシデントがなければマイルでも正攻法の競馬ができる。何より秋華賞以来の牝馬同士で今回は相手が楽だ。これまでの鬱憤を晴らす圧勝を期待している。
　焦点は相手探し。高速馬場は確かだが土曜日の雨で多少は柔らかくなった。加えて、アーモンドアイが強気に早めに抜け出せば先行勢はきつくなる。スカーレットカラーの末脚が魅力だ。昨秋の府中牝馬S1着の後方一気は外が伸びる馬場とはいえ前残りの流れを豪快に差し切る強い競馬。阪神牝馬S2着は久々で太め残りだったが馬群を割って伸びた。上積みも十分。東京なら確実に追い込んでくる。サウンドキアラは正攻法の競馬で重賞3連勝。アーモンドアイより少し前で運んで切れ味勝負だろう。崩れはない。この2頭が相手の本線だ。以下、昨年2着のプリモシーン、昨年の勝ち馬ノームコアは東京の切れ味勝負が合う。ラヴズオンリーユーは能力が認めるが久々でやや余裕残しの仕上げ。マイルもどうか。セラピアはスピードが魅力で馬場が乾けば粘る可能性がある。あとは内枠を引いたビーチサンバ、シゲルピンクダイヤを押さえたい。馬券はアーモンドアイ1着以外は買わない。強気に勝負する。