マスカレードボール。
共同通信杯(1着)に続き、2回目の購入となる予定。
ドゥラメンテ産駒の、牡馬。
良駒だ。
4歳世代のクラシックホース3頭が、『ダノンデサイルがここは不出走・ジャスティンミラノは引退・アーバンシックは成長力不足か不調』といった状況だ。こういう時の天皇賞・秋でありがちな決着は『3歳馬のトップ+『晩成型の馬』かもしくは『腐っても4歳馬』という形。
マスカレードボールは、皐月賞が「位置取り悪すぎ、激突しまくり、直線はジグザグ走行」で、騎乗の差で負けた感があった。坂井瑠で挑んだ日本ダービーは、2400mでどうかという点だけが課題だと思ったが、中団で折り合えた。そしていつもと同じ様な末脚を使えていた。「これなら」と思える内容。最高峰の大一番でミュージアムマイルに先着できたことは、クロワデュノールに続く「世代ナンバー2」を印象付けた。
【天皇賞・秋は、3歳馬でも簡単に通用するように感じてしまうが、決してそうではない。イクイノックス、エフフォーリアなど、世代の1番馬、もしくは2番の馬くらいでなければ通用しない。】
その上で、4歳世代のトップホースが出てこない、もしくは成長力不足など「何か難がある場合」に「3歳に出番がある」という歴史がある。
エビデンス・過去の似ている事例としては、近年でダービー2着から直行で勝ったイクイノックスやエフフォーリアに似ていると見る人も多そうだが、まだマスカレードボールは、あの2頭のレベルにはない。あれよりは弱いと思う。
イスラボニータ。2014年、天皇賞・秋で3着だった、あの馬の時に似ていると感じている。同じ共同通信杯馬という点でも似ている。父がフジキセキ(中距離ではトライアル血統・イスラボニータはその最高傑作)ではなく、ドゥラメンテ(クラシック血統)という点は、マスカレードボールの方が上。そこは強調材料になる。
【陣営からは「名うってのサウスポー」というコメントが出ている。ただ、まだそこまで極端に左回りがいいかはわからない。それでも、デビュー戦からの一連の走りは、左回りのレースで、首をスタンド側にググッと向けてまるで「カメラ目線」のような走りを確認できた。かつて、東京コースの鬼だったトニービン産駒、ジャングルポケットやテレグノシスと同じ”仕草の走法”をしている。】
まだ「名うっての」かは、未知だが、サウスポーである可能性は十分に秘めている。血統的にではなく「個体的にサウスポー」だったスワーヴリチャードを思い出す。ただし、マスカレードボールの場合、ドゥラメンテ産駒ということでトニービンの血も入っている。
まとめると、エビデンス・過去の似ている事例はもうひとつあって「共同通信杯を勝って日本ダービーで2着に巻き返した生粋のサウスポー」スワーヴリチャードにも似ているかもしれない。
鞍上は、ルメールジョッキー。
先週の雨で東京は「やや外差し馬場」になっていた。ただ、Bコースで、さらに雨がなければ、馬場は回復すると思う。無理に先行する必要はないが、最後方から差し切れるような競馬にもならない。気性が激しい馬だが、気性難ではない。中団が欲しい。
クリスチャンデムーロ登場週。レーンも到着。マーカンドも登場週だ。その中で、気合いを入れて中団へ行きたい。そこで折り合いをビッタリと付けて、末脚を爆発させてもらいたい。
G1だ。
天皇賞・秋の有力各馬に、ひと言ずつ、見解をつけていこう。
アーバンシック。
4歳の『晩成型』。ここは好走できる存在。ただし、春一連の競馬を見ると、やや成長力不足を感じる。菊花賞馬をキチンと天皇賞・春に向かわせないあたりから、走らなくなってしまった印象。プーシャンに期待するしかない。僕は普段印を打たないが、印で表現するとしたら、△。
エコロヴァルツ。
今のところ気性は安定しているが。最高峰のG1。この舞台ではどうか。
クイーンズウォーク。
左回りで強い。牡馬G1での実績がないが、別定G2を勝てている。この時は55キロ。今回は56キロをクリアしなくてはいけない。それをクリアできたら「歴史的名牝」への扉が開く。大きな壁ではあるが、少なくてもG2までは牡馬と戦える精神力を証明してきている。もし『腐っても4歳』が、直線で最高の形で具現化されることになるとしたら、この馬。〇
コスモキュランダ。
成長力が足りていないように感じる。2000mは得意だが。ここは厳しそうに思う。
ジャスティンパレス。
長く走れている馬。宝塚記念の3着激走には驚いたが、もともとホープフルSに2着馬で『王道型』。4歳春の天皇賞・春だけ単複を買った。5歳シーズンの昨年、6歳シーズンの今年は、全レースで軽視してきた。ハイペースでスタミナが生きる可能性はある。展開は合いそうだが。ここも軽視してみたい。
シランケド。
鮮烈な勝ち方だった前走。エネルジコを外から差し切った切れ味は素晴らしいものがあった。ここは牡馬相手のG1。前走の様な競馬を再現するのは難しそうに思う。△
セイウンハーデス。
3走前のチャレンジCで、馬の闘争心が戻っていることを確認できていた。圧巻だった前走は「必然の好走」だ。ただ、ここはG1になる。どこまで戦えるか。
ソールオリエンス。
4歳で皐月賞を勝った『王道型』。やや成長力不足も感じて、4歳の秋以降買っていない。ここも軽視する。
タスティエーラ。
5歳になる『王道型』の日本ダービー馬。弥生賞を見て「皐月賞向き」と評価して単複を買った(5番人気・2着)のがなつかしい。その後、こちらの見立てに反して日本ダービーを勝ってしまった。想像以上に大物だった。
4歳で天皇賞・秋(2着)があり、このあたりである程度は”完結”している馬だと思っている。その後は2戦しか使わず、それが海外のレース、香港のG1で、そこを勝ってしまっているから、いろいろと”隠れ蓑”になっているように感じる。「5歳の秋に国内G1でどうか」。当然、”ダミアンレーン・マジック”が炸裂する可能性も含めつつも、評価を少し下げる。△
ブレイディヴェーグ。
5歳になるが『晩成型』。この秋も走れていいと思う。現状は、牡馬相手の56キロに苦しんでいる様子と見ている。東京は合うが。勝ち切るまでは厳しいように思う。
ホウオウビスケッツ。
マイペースだと本当によく粘る馬。マインドユアビスケッツ産駒らしさがよく出ている。逃げても二番手でもいいと思う。少しでもペースが落ち着いてくれれば。展開ひとつ、流れひとつで、上位への残り目はありそう。△
ミュージアムマイル。
3歳世代で何番目に強いか。それが肝心。これがクロワデュノールに続くナンバー2なら、ここを勝ち切れるかもしれない。3歳馬は本当にトップクラスでなければ、なかなか天皇賞・秋を勝てない。朝日杯FS、弥生賞、そこからセントライト記念で久しぶりに単複を買ったが、一瞬の切れ味は抜群なまま。成長力は十分ある。
ただ、中山の様な急坂か、もしくは逆に、平坦コースでそれが”炸裂するというレベル”にまでなるのが、リオンディーズ産駒全般の特徴。日本ダービー5着は距離だけが敗因かどうかだ。つまり、2000mでも東京でどうか。これが課題。鞍上に世界一の男、クリスチャンデムーロが乗って全てを掻き消して捻じ伏せるか。今回は馬より、むしろ『騎乗』の方に注目したい。▲
メイショウタバル。
宝塚記念は完璧な逃走劇だった。どうしてもハイペースになってしまうが、上手く落とせばミドルペースでもいけそうだ。4歳の『晩成型』の馬。ここも頑張りどころだが、ゴールドシップ産駒の東京コースとうのは、ひとつの課題となりそう。どんな絶妙のペースを刻むか。左回り自体は実績があり大丈夫だ。作戦とその走りに、注目が集まる一戦。△
<本島修司の競馬分析ワード>
【馬単位】:2008年に本島が発案した概念。一般的な「このレース、どの馬が来るか」ではなく「この馬、どのレースなら来るか」という見方に切り替えること。馬1頭と真摯に向き合うための概念。
【良駒】:その種牡馬の「産駒らしさ」が濃く出ている馬。『信頼性』が見込め、『ポテンシャルの高さ』を測る目安のひとつにもなる。
【エビデンス】:本来は「根拠」という意味の言葉だが、似ているパターンや、似ている状況で「必然の好走が出来た過去の事例がある」という意味で使用している。