阪神ジュベナイルF(B)
[印]
◎12アルマヴェローチェ
〇11クリノメイ
▲10ブラウンラチェット
△9ショウナンザナドゥ
△13コートアリシアン
≪買い目:単勝◎21%、複勝◎60%、ワイド◎〇4%、馬連◎→▲△△5%ずつ≫
[見解]
これまでの現2歳世代のオープン競走戦線において特徴的なのが、牡馬の活躍が目立っているという点です。
例えば一昨年の2歳世代のオープン競走戦線では、函館2歳Sから札幌2歳Sまで牝馬が重賞3連勝スタートを切り、オープン特別まで含めれば牝馬が8連勝スタートという快進撃を見せるなど「牡低・牝高」の決着傾向となっていました。その年の阪神ジュベナイルFでは、前走牝馬限定の重賞勝利の1番人気馬リバティアイランドが勝利した一方で、前走牡馬牝馬混合のオープン特別勝利の2番人気モリアーナと3番人気ウンブライルが共に馬券外に沈みました。
逆に近年の中で同戦線が最も「牡高・牝低」の決着傾向だったのは3年前でしたが、その年の阪神ジュベナイルFでは一握りしかいなかった前走牡馬牝馬混合の重賞好走(京王杯2歳S3着)のラブリイユアアイズが8番人気2着と穴をあけました。
その3年前の数字以上に同戦線において牝馬の勝利数が少なくて活躍できていないのが現2歳世代となっているだけに、そこではレベルが高くない牝馬同士のレースではなく、レベルが高い牡馬相手のレースで好結果をマークしていた馬の方を相対的に評価すべきです。
また、阪神ジュベナイルFに限らず、全ての2歳戦において重視すべきポイントの一つに「育成の成否」があります。
その世代の馬についての育成が大成功している牧場や厩舎などに属する馬はトントン拍子に全面的な活躍が期待しやすい一方で、逆に育成が上手く行っていない牧場や厩舎などに属する馬は軌道に乗るのには時間を要すためにその後も活躍が期待しづらいものです。
その前者に属する2歳戦好調の陣営に属する馬が、その延長線上で頂上決戦の2歳G1競走(阪神ジュベナイルF・朝日杯フューチュリティS・ホープフルS)でも活躍傾向にあるというわけです。
それらを踏まえた上で本命馬は、前走でレベルの高い牡馬相手の重賞競走で好走しており、今年の2歳戦では例年比で成績を一変させている上村厩舎所属のアルマヴェローチェとします。
上村厩舎は一つ上の世代(現3歳世代)の2歳新馬戦では[1-0-0-11](複勝率8.3%)と軒並み凡走していたのに対して、今年の世代(現2歳世代)の新馬戦ではこれまで[6-2-0-6](複勝率57.1%)で全厩舎の中で最も多くの勝ち星をマークしているほどで、2歳戦から走らせるノウハウを掴んだものと考えられます。
馬についても新馬戦で走っても2戦目でコケやすい傾向があるハービンジャー産駒にもかかわらず、鬼門の2戦目で重賞連対という戦績からも“本物”である可能性が高いと言えます。
今年の2歳調教師リーディングTOP5の厩舎の中で、今回の阪神JFに管理馬を送り込むのは須貝厩舎(クリノメイ)と手塚厩舎(ブラウンラチェット)です。
須貝厩舎は21世紀の2歳G1勝利数でトップであり、手塚厩舎は21世紀の2歳G1複勝率(出走数4以上)でトップという、今年だけではなく元から2歳G1競走を十八番としている特注厩舎だけに、それらの管理馬の出走機会には常に注目する必要があります。
クリノメイはこれまでのレース振りからは相手ナリに走れるタイプと見られますので、相手関係が一気に強化される今回でも魅力ある一頭だけに複大穴として。
ブラウンラチェットは実績最上位ですが、調教後馬体重の大幅減の上で初の関西遠征というのは懸念材料です。
あとは早熟血統の好素材ショウナンザナドゥ、前走牡馬牝馬混合重賞連対実績は上のコートアリシアンまで上位評価します。
本命馬アルマヴェローチェについて更に掘り下げると、ハービンジャー産駒の初年度、一部では新馬戦詐欺という風評がありました。
それはハービンジャー産駒は新馬戦で良いレースを見せる馬は続出したのですが、2戦目になると期待を裏切るパフォーマンスに留まる馬が目立っていたからです。
その最大の要因はハービンジャー産駒のペース適性で、新馬戦のぬるいペースのレースが好物で、ペースが一気に上がると対応ができなくなるのが並みの産駒だったわけです。
ただし、そのハービンジャー産駒が鬼門とするデビュー2戦目という高いハードルを乗り越えてデビュー2連勝を飾った馬は、ほとんどがその後にG1級の馬に大きな飛躍を遂げています。具体的には昨年までの該当馬7頭の中で早期引退リブースト以外の6頭は全て重賞勝利馬で、4頭がG1好走馬で、3頭はG1勝ち馬となりました(※ディープインパクト産駒でデビュー2連勝する馬は腐るほどいますが出世率はさほど高くありません)。
また、それは母父ハービンジャーについても同様のことが言えて、実際に母父ハービンジャーでデビュー2連勝を収めた馬は「オメガギネス・ベラジオオペラ・ドゥラドーレス・メイケイエール・アーバンシック」の5頭のみで、やはりほとんどがG1通用レベルの実績馬という高い出世率となっています。
アルマヴェローチェはそのデビュー2連勝が懸かっていた前走札幌2歳ステークスは外有利馬場の最内枠での紙一重の2着でしたので、それらに準ずる存在(準大物)と見なすことができます。