回収率を底上げする馬券の組み立て方は「過剰人気を避け、見過ごされている人気薄を狙う」。いかに過剰人気を避け、どのように不当な人気薄を発掘するかという方法論は多岐にわたるし、いろんな立場がぶつかり合うものだが、馬券がパリミュチュエル方式で売られ、すなわち、ポッドに集まったお金を購買者同士が取り合う構図である以上、この大原則は変わらない。
　新聞記者のように、オッズが形成される前に原稿を書かねばならない立場からすると、オッズの予測という難題にも立ち向かわなければならないのがネックになるが、今回の秋華賞に関しては、「世間の見方」と「生体工学的な見方」に乖離が生じていそうなトピックが見つかった。これは馬券的な狙い目になる。
　ボンドガールの追い切り評価である。９日美浦坂路は不良馬場だったが、一杯に追って54秒０―13秒９の時計は平凡に過ぎる。ラスト１Ｆは止まっている時計だ。ＶＴＲで見返すと、確かに追い出しに対して反応していない。酷評しやすい材料はそろっていると思う。実際、いろんなＳＮＳでこき下ろされているのをたくさん目にした。
　しかしこれ、言われるほど悪くはない。確かに反応はしていないのだが、気の悪い馬は気分で追い出しに反抗することだってある。フォームを観察すると、重心は低いところに保たれている。肩は骨格なりにしっかり引き出されているし、背中にも硬いところは見せていない。ただ、追い出しに対して素直に反応しなかったのが、時計と相まって非常に悪い調教に見えているだけだ。馬の動きとしては闘える態勢には持ってきている。
　前走の紫苑Ｓはおおむね前残りの高速決着を、絶望的な最後方から切れ上がっての３着。優先出走権を確保した。展開的に後ろから届く流れになるかは不透明だが、ちょっと異次元の切れ脚を繰り出して絡んでくる可能性も十分見られる。攻め馬のぱっと見で人気が押し下げられるならなおさらだ。/酷評されているが、実はそうでも

アドマイヤベル：Ｂ
241009美浦Ｗ単。蹄軌跡低く軸安定も、前後回転コンパクト。

クイーンズウォーク：Ｂ＋
241009栗東坂路単。軸やや右に偏るがそこでぶれず。肩回転軽やか。

クリスマスパレード：Ａ
241009栗東坂路単。トモすこぶる深く入る。肩柔らかく大きく回る。

コガネノソラ：Ａ
241009美浦Ｐ３併外、内外反転して中に半身先。蹄軌跡低く保って肩鋭く引き出す。背中強く軸安定。

ステレンボッシュ：Ａ
241009栗東ＣＷ内ミアネーロらと３併中、外１身置いて内と同。戸崎。重心低く保って肩柔らかく回す。腰周り充実して張り十分。

セキトバイースト：Ｂ＋
241009栗東ＣＷ単。藤岡佑。腰のバネしなやかにして軽やかに進む。

タガノエルピーダ：Ｂ＋
241009栗東坂路内１身先。団野。重心しっかり沈めつつ前後高回転。

チェルヴィニア：Ａ
241009美浦Ｗ３併中同。前駆起こして肩しっかり引き出す。背中しなやか。軸安定。

チルカーノ：Ｃ
241010栗東坂路単。右に舌越しクチ利かず。トモは入るが重心浮いて前駆空回り。

ボンドガール：Ｂ＋
241009美浦坂路単。叩いても反応せずピッチが上がらないが、重心は低いところに保たれていて、背中に硬さはない。

ホーエリート：Ｂ
241009美浦Ｗ３併中同。首上がってやや重心浮き上がる。トモの入りは軽いが肩回転コンパクト。

ミアネーロ：Ｂ
241009栗東ＣＷ３併内、外１身置いて中ステレンボッシュと同。津村。背中しなやか。腰の幅は利かす。トモの入りもう少し深く出来そう。

ラヴァンダ：Ａ
241009栗東坂路単。トモすこぶる入る。肩回転鋭い。軸ほとんどぶれず。

ラビットアイ：Ｂ＋
241009栗東ＣＷ外同。うながして徐々に前駆沈める。肩の回転も上げる。

ランスオブクイーン：Ｂ＋
241009栗東Ｐ３併内、中に１身遅れ。松山。重心低く保ちつつ体はしっかり起こす。背中しなやかに使ってエネルギー効率高し。