夏の期間は英気を養っていた「春の実績馬」と、その夏の間に頭角を現してきた「夏の上がり馬」がぶつかり合うという構図で行われる神戸新聞杯ですが、そのどちらを上位に扱うべきかと言えば、低レベル世代であれば相対的にレベルの高い古馬相手に実績を残してきた「夏の上がり馬」を、ハイレベル世代であれば同世代内で実績を残してきた「春の実績馬」を評価するのが定石です。
そのレベルを測る上での有力な材料となるのが、日本競馬を牽引するノーザンF系馬の活躍度合いです。春のクラシックでノーザンF系馬が順当に活躍している世代はハイレベルの可能性が高く、ノーザンF系馬が活躍できていない世代はあまりレベルが高くない可能性が考えられるということです。
今年の3歳世代牡馬について、最高峰の舞台であるダービーにおいて出走馬の過半数がノーザンF系馬であり、さらには上位入線馬5頭中4頭が同系馬だっただけに、上位8頭中7頭までを同系馬が占めた21年ほどではなくともやや高いレベルにあるものと見なすことができます。
先週のセントライト記念でも前走ダービー組3頭がそのままワンツースリーという春の実績馬優位の決着でしたが、今週の神戸新聞杯でもそれと同様のダービー組≒春の実績馬優位の決着を見込みます。
また、今年の神戸新聞杯が行われる中京芝2200mは、JRAの中でも屈指の差し追い込み有利コースです。普段は少頭数立てのレースばかりのせいで必然的に前残りの決着も目立ちますが、頭数が増えれば増えるほど加速度的にペースが上がりやすいというコース形態からして、多頭数戦や上級クラス戦では差し追い込みが決まるレースばかりになります。
(参考データ⇒ https://livedoor.blogimg.jp/sguw/imgs/5/1/51c9a7f2.png )
JRAの数あるコースの中でも、この中京2200m以上に「差し」の好走率や回収率が高いコースはほとんどありませんし、「逃げ」の好走率や回収率がここまで低いコースはほぼありません。
実際に前回この中京芝2200mで行われた22年神戸新聞杯は、道中二桁通過順位の後方追走馬が2着と3着に食い込むという差し追い込み有利の決着でした。
よって、強い春の実績馬(ダービー組)の中から、有利な差し脚質のショウナンラプンタ・ジューンテイク・ビザミスタージーティーの3頭を推奨馬とします。
ショウナンラプンタはダービーでは大外枠とスローペースが災いして折り合いを付けられずに大敗を喫しましたが、距離短縮と中枠替わりで折り合いさえ付けられればガラリ一変のパフォーマンスが期待できます。
ジューンテイクはこれまでに1度も連続好走が無いという戦歴で、連戦時には毎度馬体を減らしていることからも、間隔を空けたローテの方がベターなタイプと見られます。その得意ローテ替わりと最近の中京芝重賞の特注枠の“1番枠”を引き当てたとなればチャンス十分でしょう。
その2頭の優劣としては、ダービーの有力馬診断で『かつては青葉賞よりも京都新聞杯組の活躍が目立っていましたが、西高東低時代が終わり東高西低の今となっては青葉賞の方がレベルが高くなっている』と記した通りで、実際にこれまでに青葉賞組からは3勝クラス好走馬が3頭出ているのに対して、京都新聞杯組からは0頭となっていることからも、京都新聞杯のジューンテイクよりも青葉賞のショウナンラプンタを上位に取ります。
ミスタージーティーは兄姉(タッチングスピーチなど)が軒並み道悪巧者で、母リッスン自身も芝マイルで1分43秒台という超低速決着だった英G1フィリーズマイルの勝ち馬でした。これまで6走全て良馬場での出走でしたが、キャリアで初めての雨馬場が見込まれる今回はパフォーマンスUPが期待できます。
(ミスタージーティーの母・姉・兄のベスト戦績と当時の馬場状態)
母リッスン(英G1フィリーズマイル1着・※勝ち時計1.43.3は21世紀で2番目に遅い時計)
姉アスコルティ(500万下1着・稍重馬場)
姉タッチングスピーチ(エリザベス女王杯3着・稍重馬場)
兄ムーヴザワールド(東京スポーツ杯2歳S3着・稍重馬場)
兄サトノルークス(菊花賞2着・良馬場※雨含みの馬場で3分6秒の低速決着)
兄タイミングハート(1勝クラス1着・稍重馬場)
姉リンフォルツァンド(未勝利1着・稍重馬場)
姉リッスンアップ(未勝利4着・重馬場)
姉マッハモンルード(2勝クラス1着・良馬場)