セントライト記念は「春の実績馬vs夏の上がり馬」という構図になりがちですが、そのどちらを上位に扱うべきかという論点について、以前にも扱った『秋の3歳世代限定重賞レースでは、低レベル世代ならば上がり馬を、高レベル世代なら春の実績馬を狙うべき』・『世代レベルを測る上での最重要ソースはノーザンファーム勢の活躍度合い(春のクラシックでノーザンファーム勢が順当に活躍している世代は高レベル⇔ノーザンファーム勢が活躍できていない世代は飛車角落ちの低レベル)』というジャッジの仕方が有効です。
それに照らせば3歳牡馬の最高峰の舞台である日本ダービーにおいて出走馬の過半数がノーザンファーム生産馬&育成馬であり、上位入線馬5頭中4頭がノーザンファーム生産馬&育成馬(残る1頭は社台ファーム馬)という今年は、上位8頭中7頭をノーザンファーム生産馬が占めた21年ほどではなくとも水準超のレベルにあるものと見ることができます。
その評価すべき春の実績馬の中で最高峰の舞台であるダービーで善戦したのがエコロヴァルツとコスモキュランダの2頭です。
単純にその実績面だけを根拠に今回セントライト記念では買わねばならない馬たちということになりますが、人気の差と脚質の差と騎手の差でエコロヴァルツの方を本命馬とします。
最近の東京芝は一にも二にも末脚こそがモノを言う差し有利馬場へと転化しており、上級条件戦の方がレースにおける末脚の比重が高まるので差しが決まり易いというのが通例ですので、最高峰に位置するGIレースではことさら顕著な差し有利傾向が生まれています。
それはダービーでも例外ではなく、実際に20~23年の同人気薄激走馬としては「20年10番人気3着ヴェルトライゼンデ・21年9番人気3着ステラヴェローチェ・22年7番人気3着アスクビクターモア・23年6番人気3着ハーツコンチェルト」が挙げられますが、実際は相当強い馬だたから走ったと言えるアスクビクターモア以外の3頭は「差し追い込み馬」でした。
そんな今の東京芝G1レースで無謀な逃げる競馬をして8着だったエコロヴァルツは十分に評価できるパフォーマンスだったと言えます。
また今の岩田康騎手は継続騎乗と自ら調教騎乗時が狙い時で、実際に21年以降の重賞勝利歴の14分の12は継続騎乗時で、人気馬だけに絞っても継続騎乗時29戦10連対⇔乗り替わり騎乗時16戦0連対と差は歴然です。
その後者から前者への条件好転でもある今回は一発まで。
逆にモレイラ騎手からデムーロ騎手への鞍上弱化するコスモキュランダは対抗評価までに。
4走前は丹内騎手への鞍上強化で好走、3走前弥生賞は当時乗れていたデムーロ騎手への鞍上強化で重賞勝利、2走前皐月賞ではそれを根拠に対抗推奨した通りモレイラ騎手への鞍上強化でG1連対、そして前走ダービーではそれを根拠に評価を下げた通りデムーロ騎手への鞍上弱化(モレイラ・ロス)で6着止まりという戦歴です。
モレイラ騎手程のパフォーマンスを引き出すことはできなくとも、同じデムーロ騎手が乗ったダービー6着や弥生賞1着だけ走れば足りる相手関係ですのでそこまで評価を下げるというわけではありませんが、父アルアイン(皐月賞1着→ダービー5着→セントライト記念2着)のややスケールダウンと言える戦績も含めて勝ち切りの期待値は高くはないと見てこの評価としました。
残る春の実績馬に当てはまるアーバンシックとルカランフィーストを相手評価とします。
ルカランフィーストは内枠向きのイスラボニータ産駒だけに、前回重賞好走時と同じ内枠を引き当てた今回は期待が高まります。
アーバンシックの父スワーヴリチャードの家系は基本的に仕上がり早の傾向で、実際にスワーヴリチャードの近親という括りでは2〜3歳戦は単複回収率約150%(特に新馬戦では複勝率64%で単複回収率300%超)というのが非常に特徴的な数字となっています。そしてそれは種牡馬となったスワーヴリチャードについても同様で、これまでの早期重賞好走馬はパワーホールやコラソンビートなど全て先細り感ある戦績となってしまっているだけに、走る毎に底を見せているという近況のアーバンシックについても過信禁物。