中京競馬場がリニューアルした2012年以降の高松宮記念。調教タイプで傾向を見極めるとすれば、坂路調教馬が有利。2015年に外国馬、昨年は標準併用が1着になっているように、決して坂路オンリーでなくとも構わないという調教適性ですが、ただひとつ強調できるのはトラック単一調教馬の3着以内はないということ(外国馬除く)。リニューアルして、最後の直線に急坂ができた、これが坂路調教を必須とする大きな要因でしょう。外国馬エアロヴェロシティは最終追い切りが中京芝だったので、最後の直線に急坂があるコースで追い切ったことになります。そういった意味でブリザードも同じ中京芝での追い切りは評価できますが、馬券を組み立てる上でここまで印を打つことができませんでした。
まずトラック単一調教馬の7頭は調教適性から評価していません。そして本命を決めるという意味では、やはり坂路調教馬を選択しました。◎ファインニードルは前走シルクロードSが休み明けで、最終追い切りは最終追いとして初めてのCWを選択。太目が残っているからだろうと思っていましたが、それでも結果が出たところに自分の予想の不甲斐なさも感じました。
しかし、今回もCWでの追い切りを1週前に敢行。この時、調教に跨る鵜木(うのき)調教助手と話す機会があったので、CW追いについて聞いてみると「確かに前回は休み明けということもあって、CWで追ったけど、それ以前に今の気性ならCWで乗っても引っ掛からない、それをジョッキーにも確かめてもらいたかった」と解説してくれました。これは私自身も追い切りを見た時に感じたこと。これがレースでの好結果に繋がったと思います。
もちろん今回の1週前追い切りでも引っ掛かることはありません。むしろ素晴らしい動きに今がピークと思える状態を感じることができました。今週はウッドチップ馬場が軒並み時計を要する状態。それを思えば、1週前にしっかりと時計を出せたことはこの馬が持っている運だと思いますし、時計は平凡でも栗坂で素晴らしい動きで4F目最速ラップ。単純なスピードだけで押し切れなくなった中京芝1200mですから、前走から行っているCW追い切りが絶妙なスパイスとなってG1獲りを後押ししてくれそうな気がします。
○レッドファルクスは阪急杯がこれまでとは違う調教パターンで仕上げてきたこともあり、調教内容からは差し届かないイメージでしたが、やっぱり強い競馬。あらためて絶対能力の高さを感じましたが、1週前追い切り、最終追い切りの動きで気になることがひとつ。それは舌を越していること。特に最終追い切りは追われるとどんどん舌を出し、鞍上に反抗しているようにすら見えます。年齢を重ねて「ズルさ」が出てきたのかも知れません。これがレースでどこまで影響するか、正直走ってみないことには分かりませんが、これまでに見せたことがない仕草であることは間違いありません。
▲ダンスディレクターは本命も考えた坂路調教馬。中間には左回りになるCWで2本時計を出していて、左回り対策も万全。これまでの経緯を考えて、ぶっつけ本番を選んだ理由も納得です。ただ、最終追い切りを併せ馬にしたのは本当に万全ではないという気がしますし、動きを見ていても、少しもたついたところがそれを示しているようにも思います。勝って全く不思議ない調教内容ですが、負けたらやっぱり少し足りなかったんだと後悔しそうだったので、この評価にとどめました。
△シャイニングレイはCBC賞の強さが今でも脳裏に焼き付いています。ダンスと同じ前走阪神Cですが、こちらはここぶっつけを意識しての調教内容。それを感じることができる内容ですから、当然高い評価をすべきだと思います。
☆セイウンコウセイは昨年と同じシルクロードSからのローテーション。調教内容としては、昨年とほぼ同じ。あとは馬場状態が昨年とは全く違う状況で同じ結果を得ることができるかどうか。それだけです。
注レッツゴードンキは昨年2着時よりも明らかに攻め強化の内容。調教内容としては評価しないといけないと思いますが、スプリンターズS2着時が休み明けだったとはいえ、最終追い切り軽めで結果を出しているだけに、年齢を重ねた今となって、この攻め強化が必ずプラスになるとは限らない、そんなうがった見方をしたところはあります。
最後に注ダイアナヘイロー。個人的には非力な牝馬というイメージですが、ここにきて、馬体に厚みが増しているような気がしますし、だからこそ、最終追い切りも重たいウッドチップであれだけしっかり走れたのではないでしょうか。23日にCWをキャンターで乗っている様子を見ても力強さを感じましたし、転厩したとはいえ、担当者は同じ。ここで結果が出ても全く驚けない状態です。